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11月20日-03号

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  1. 京都市議会 1992-11-20
    11月20日-03号


    取得元: 京都市議会公式サイト
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    平成 4年 11月 定例会(第4回)  平成4年第4回(定例会)   京都市会会議録   第3号          平成4年11月20日(金曜日)   出席議員(72名)  1番 天方晶英君  2番 大道義知君  3番 日置文章君  4番 川中増次郎君  5番 内海貴夫君  6番 橋村芳和君  7番 桑原茂樹君  8番 いさか博文君  9番 中村勝己君  10番 河上洋子君  11番 富 きくお君  12番 谷口弘昌君  13番 高嶋弘恵君  14番 小川利治君  15番 大西 均君  16番 巻野 渡君  17番 小林正明君  18番 富田征義君  19番 加藤盛司君  20番 鈴木マサホ君  21番 藤井佐富君  22番 山中 渡君  23番 北山ただお君  24番 加藤広太郎君  25番 宮本 徹君  26番 今枝徳蔵君  27番 小林澄江君  28番 中西賢治君  29番 秋山幸雄君  30番 田中セツ子君  31番 伊藤義浩君  32番 磯辺寿子君  33番 二之湯 智君  34番 中野竜三君  35番 安井 勉君  36番 小林あきろう君  37番 三宅誠孝君  38番 藤本貞子君  39番 高橋きみ君  40番 山本 豊君  41番 山本正志君  42番 岩本 弘君  43番 可児達志君  44番 永嶋久仁朗君  45番 中西正三君  46番 田中 保君  47番 北川光男君  48番 田中のぼる君  49番 井上与一郎君  50番 高橋泰一朗君  51番 椋田知雄君  52番 中村安良君  53番 北川 明君  54番 奥山茂彦君  55番 梅林 等君  56番 山口幸秀君  57番 南野昭雄君  58番 阿美弘永君  59番 若宮 修君  60番 坂口芳治君  61番 藤原冬樹君  62番 有吉節子君  63番 国枝克一郎君  64番 西脇尚一君  65番 青木善男君  66番 津田幹雄君  67番 江羅寿夫君  68番 加藤つる君  69番 福島滋弥君  70番 西田輝雄君  71番 小坂 正君  72番 末本徹夫君   欠席議員(なし)--------------------------------------   議事日程   開議日時 11月20日午前10時   一般質問 1)市政一般について  有吉節子君 2)市政一般について  山本 豊君 3)市政一般について  永嶋久仁朗君 4)市政一般について  鈴木マサホ君 5)市政一般について  加藤盛司君 6)市政一般について  富 きくお君-------------------------------------- 〔午前10時1分開議〕 ○議長(川中増次郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は,席上に配付いたしておきました。 本日の会議録署名者を指名いたします。日置文章君と桑原茂樹君とにお願いいたします。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) この場合,議長から御報告申し上げます。 本日までに受理いたしました請願4件は,お手元に配付してあります文書表のとおり,所管の常任委員会に付託いたします。--------------------------------------請願文書表「受理番号301」「学校休業土曜日の学童保育実施等」・請願文書表「受理番号302」「乳幼児医療費の無料化等」・請願文書表「受理番号303」「千代原川の水害対策等」・請願文書表「受理番号304」「歩道橋の設置」 -------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 以上,御報告申し上げます。御了承願います。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 昨日に引き続き,これより一般質問を行います。発言の通告がありますので,これを許します。市政一般について,有吉節子君。 〔有吉節子議員登壇(拍手)〕 ◆(有吉節子君) 私は,日本共産党京都市会議員団を代表いたしまして,市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず女性の社会参加の促進を図る問題です。女性が女性であることを理由に受ける様々な不平等や偏見,差別の問題は,1975年の国連で取り上げられた国際婦人年以後,世界でも日本でも行動計画が策定され,その解決のための取組が進められております。京都市は,10年前に第1次行動計画を策定し,今年4月,第2次行動計画として男女がともに自立,参画,創造する都市・京都21プランを策定いたしました。これを絵に描いた餅にすることなく,国際婦人年の平等,発展,平和の精神に基づいて積極的,具体的に進めるためには,女性行動計画をより実効あるものにしなければなりません。その立場から重要な2点についてお尋ねいたします。 第1は,第2次行動計画の主要課題についてです。それは現在建設中の女性総合センタ―の中身の充実にあります。今後女性関係施策推進の拠点として多くの女性市民の多様な要望にこたえられるセンタ―とすることが強く求められております。施設の機能や役割,運営体制は,より幅広い団体や個人の意見が反映され,誰でも気楽に使用できるものにし,計画立案に当たっても住民参加と計画の公表を原則にすべきです。市長の基本的お考えをお示しください。 第2は,政策,方針決定への女性の参画の問題です。女性問題解決には,女性の政策,方針決定への参画が必要です。ところが京都市の審議会などへの女性の登用状況は,第1次行動計画ができて10年たった現在も12.6パ―セントにしかすぎず,3年前の助役通達で当面15パ―セントと示されましたが,それよりも更に低い状態です。そのうえ103の審議会,委員会のうち,女性委員のいないのが50もあり,本市の女性問題解決へのやる気のなさが如実に現れており,市長の責任は重大であります。国連も国も目標を示していますが,本市は,女性の登用率の目標をいつまでに何パ―セントになさるのですか,また女性の委員のいない50の審議会,委員会の克服はどうなさるのですか,田邊市長より年次計画も併せてお示しください。 女性委員の登用促進のために,人材の発掘,育成,情報の収集と提供システムの整理や選出方法の工夫など早期に具体化すべきです。総務局長のお考えをお示しください。 次に福祉の問題です。第2次行動計画にも高齢者の問題と子供の問題は,女性問題解決の視点からも大変重要な課題であることが強調されております。一昨年実施されました京都市の高齢社会対策実態調査によりますと,京都市内において65歳以上で寝たきりの方が約4547人,痴呆症状の方が6736人おられます。その70パ―セント以上が同居している家族の看護です。その多くは女性であり,看護に当たっておられる方自身が高齢となっておられ,自分が鍼の治療に行く時間もない,自分の自由になる時間が限られていらいらすることがあるなど,多くの女性にとって介護の問題は心身の負担と働き続けたいことへの深刻な障害にもなっているのが現状であります。 そこで市長にお伺いいたします。先日,高齢社会対策推進計画が発表されましたが,具体的な年次計画も実施時期のめども明らかにされておりません。特別養護老人ホ―ムへの入所希望者のうち,待っておられる数は,この2年間に急増し,2年前には400人であったのが今1000人にもなっているのが現状で,新増設は行われたとはいえ急増に全く対応できていません。今後ますます計画的建設が必要です。公有地の活用も更に検討し,実態に合った建設を早期に実現すべきです。いかがですかお答えください。 また寝込んだときに希望する介護サ―ビスは,家庭で家族によってというのが男性の場合58.5パ―セント,女性が40.3パ―セントと市の高齢者調査で明らかです。高齢者の希望を満たしてあげるためにも家庭介護の体制が必要であり,その具体化が緊急の課題となっています。推進計画には,ホ―ムヘルパ―,ショ―トステイ,デイサ―ビスなど9項目が羅列されておりますが,何をいつまでに具体化なさるのか示されておりません。 昨年,我が党議員の質問に答え,市長は,在宅福祉の充実については,ホ―ムヘルパ―派遣事業,短期入所事業,デイサ―ビス事業の緊急な拡大が必要と述べ,今後とも増設を積極的に推進するとのことでした。それぞれの年次計画を具体的にお示しください。 もう一つは育児の問題です。子育てをしながら働き続けられるように制度や施設を整えることは,国と地方自治体の責任であります。ところが自民党政府は,歯止めのない軍備費の拡大を行う一方で,保育所への国庫負担の大幅な切下げと保育料の相次ぐ値上げを促進し,母性保護の後退,長時間労働に拍車を掛ける労働基準法の改悪を強行するなど,育児と仕事の両立をますます困難にしてきました。こうした中で保育,学童保育の充実,実効ある育児休業制度とすることが強く求められております。 そこで市長にお尋ねいたします。この10月から保育料が平均3.02パ―セントも値上げとなり,最高負担額が4万5500円となり,負担は限界を超えております。京都市保育園保護者会連合協議会保育料アンケ―トによりますと,保育料1箇月4万円以上の世帯が50パ―セントで,家計への圧迫を感ずる世帯は実に73パ―セントにも上っております。これでは安心して子育てはできない状況で,女性行動計画の精神にも逆行するものです。当然保育料の値下げに踏み切るべきと考えます。決意をお示しください。 第2次行動計画には,今回新たに病児保育など多様なニ―ズにこたえられる保育の充実が掲げられております。また特例保育,延長保育,夜間保育などが求められており,早期に具体化すべきです。特に病児保育の早期実現は待ち望まれていることです。医療的に条件のある本市の施設で実施を検討すべきと考えますが,いかがですかお答えください。 次に学童保育所の問題です。9月12日から学校週5日制が始まりました。週休2日制の職場ばかりではありませんから,働く父母と子供たちは,学校休業の土曜日に早朝から学童保育所が開所されることを強く望まれることは当然であります。父母からの要求に耳を傾け,朝から開くべきと考えますがいかがですか。 来年度の国の予算の概要を見ましても,放課後児童対策事業費は今年度より20パ―セント伸ばさざるを得ないほどです。ところが京都市では,1中学校区に1児童館,学童保育所の設置を目標にしておりますが,それに照らしても,いまだに未設置箇所が21学区あります。用地が確保できないとの理由ですが,学童保育所のない地域の子供たちは,朝から1日中放置されたままとなっています。厚生省の放課後児童対策事業実施要綱には,保育所や学校の空き室を活用するよう示されておりますし,工夫すれば可能です。1965年に本市市長と教育委員会委員長とで,学童保育のない小学校区に学校の空き教室の利用も含め,学童保育所を設置すべきと覚書が交わされています。児童が増加していたときはまだしも,今では児童が減り,現在学校の空き室もあり,ルネッサンス事業に利用を呼び掛けておられるわけですから,当然学童保育にも利用すべきです。覚書に沿って今後の増設の計画を市長お示しください。 次に障害者の進路保障の問題です。障害者の社会的自立,社会参加の場を保障することは行政の責任です。今までは市立養護学校卒業生のうち,福祉施設関係を希望する方の大部分を福祉施設で受け入れてきました。しかし今後は厳しい状況が予想され,数多くの在宅者が出るのではないかと危惧されております。今年10月の議会で,養護学校卒業生福祉施設関係を希望する者の進路の保障に関する請願が採択されました。民生局長にお伺いいたします。福祉施設の新増設についてのお考えをお聞かせください。 環境アセスメントの制度化についてお伺いいたします。京都市は,12年前,京都市公害対策協議会環境影響評価についての答申を受け,その2年後,京都市環境影響評価制度大綱を発表し,五,六箇月をめどに作業を進めていくという意向を明らかにされました。にもかかわらず既に10年経過しておりますのに,いまだ制度化されておりません。 この間我が党は,答申の内容に沿って一日も早く制度化を実現すること,制度が有効でかつ力を持つよう条例化することなどを市長に申し入れたり,本会議や委員会審議早期制度化実現を求めてきたところです。 田邊市長は就任された3年前には,新市政をきっかけに国との調整に努めたいと述べられました。それからでも3年もたっています。何ら進展していないことは市長の怠慢と言わなければなりません。その一方で,市長が先頭に立ってJR京都駅の高層化や京都ホテルの高層化,高速道路建設など濫開発でまちを破壊し,環境悪化を促進していることは許せません。 京都の優れた自然環境,歴史的,文化遺産を開発による公害や環境破壊から守るために,京都市独自の環境アセスメントの制度化が緊急に求められております。やる気になれば自治体独自でやることは可能です。現に川崎市では実施しているではありませんか。京都市は日本の顔です。国や経済界の動きに惑わされることなく,歴史的,文化的遺産を誇る京都市が本市独自の制度化を早期に実施すべきです。お答えください。 また答申の中に示されておりますように,制度の対象を歴史的遺産や景観等に係る社会的,文化的環境をも含めたものとすることなど積極面を生かして制度化すべきですがいかがですか。衛生局長お答えください。 次にごみ減量化対策について伺います。京都市のごみの量は,昨年度は前年度に比べ4.9パ―セント伸びております。重大なことに,家庭系ごみは1.1パ―セントの増,事業系のごみが8.8パ―セント増で,事業系のごみが全体量の半分を超え,初めて家庭用ごみとの比率が逆転いたしたことです。 我が党は昨年11月,ごみ減量化への緊急提言を発表し,市民,消費者の協力と企業責任の明確化でごみの半減化と当面30パ―セントの減量化,市民サ―ビスの向上を目指すよう求め,この間委員会や本会議で質問を重ね,リサイクル条例の早期制定を要求してきたところです。 そこで市長にお伺いいたします。昨年,我が党の質問に答え,市長は,国の状況を踏まえ,清掃条例について規定整備を行っていくとのことでしたが,規定整備だけではなく,効果あるものにするために,その裏付けとなる一般廃棄物処理基本計画の内容は当然企業責任を明確にする必要があります。 川崎市では,毎年5パ―セントのごみが増えて焼却炉がパンクする事態も予想された2年前,非常事態宣言を出し,市民に呼び掛けて積極的に協力も得て分別,リサイクルによる減量作戦を展開してこられました。特に急増する企業系の紙ごみに的に絞って市内286の事業所に減量計画書の提出を求め,2年間で最低5パ―セント減らすよう指導を強めているのをはじめ,きめ細かい施策を進め,その結果,昨年は前年度比2.3パ―セントの減量となったのです。このような教訓を生かし,実効あるものにすべきではないでしょうか。清掃条例の改正への考え方と同時に,いつ提案されようとしておられるのかお答えください。 ごみ問題の解決は,企業責任とともに広く市民の協力なしにはできません。900トンの焼却炉を予定しての左京区市原の清掃工場建設計画につきましても,市には,ごみ減量化の熱意も姿勢もないものとして厳しい批判の声が寄せられております。このような状態の下で住民の合意は当然得られるものではありません。市民の協力を要請なさるのなら,市自身がごみ減量化への強い姿勢を示されるべきです。このことを強く指摘いたしておきます。 京都市の昨年度の空き缶総量は3465トンで,集められた空き缶は横大路学園で処理されてきました。ところが今年の夏は暑く,最高1日22トンの日もあり,そのうえ,この9月から左京区でも実施されることとなり,全行政区が分別収集となりました。その結果,処理に当たっている横大路学園は満杯の状態です。 私は,先日その現状を見てまいりましたが,空き缶の山とプレスされたアルミとスチ―ルの山が野積み状態になっておりました。当然第2の施設を早急に造らなければならないと考えますが,清掃局長よりお答えください。以上で私の質問といたします。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 有吉議員にお答えいたします。 女性総合センタ―につきましては,多くの市民の皆様に気軽に御利用いただける施設となるよう,その機能や役割,運営体制などにつきまして,全市的な女性団体の代表で構成されております女性会議運営委員の方々をはじめ,各種アンケートの実施などによりまして,これまで多くの市民の皆様方から貴重な御意見,御要望をいただいてきたところでございます。今後の具体的な計画策定に当たりましても,このほど内容を充実して創刊いたしました啓発情報紙であるイー・フラットを活用するなど,更に幅広く市民の皆様の御意見を反映できるよう工夫してまいるつもりでおります。 審議会などへの女性の登用につきましては,第2次女性行動計画に基づきまして,平成13年度末までに30パーセントにすることを目標にいたしております。今後も目標値達成に向けまして女性委員のいない審議会の解消に努めますとともに,女性の一層の登用促進に努力してまいりたいと考えております。 特別養護老人ホームの整備につきましては,現時点でも多くの入所待機者がおられることから,積極的な整備に努める必要があるものと認識しまして,公有地の無償貸与や他の社会福祉施設との合築整備,公設による整備など多様な手法を採り入れ,一層の推進を図っているところでございます。更に今後新たな法人の設立や民間の努力にこたえるための施設建設経費に対する助成方向の改善などについて研究検討を重ね,施設の充実,整備を強力に進めてまいりたいと考えております。 保育所の運営につきましては,次代を担う児童の健全育成を図るために,70億円を超える本市の単費でもって保護者負担の軽減や各種の独自施策を実施してきておるところでございます。特に保育料につきましては,国において保育料徴収基準が毎年改定されている中で,本市では従来から2年に1回の保育料の改定とし,また国基準のおおむね60パーセントに軽減しておるところであります。このような状況の中で,本市の厳しい財政状況の下で,現行の保育水準を維持向上させていくためにも,所得に応じた応分の負担をお願いせざるを得ないと考えております。 児童館の整備につきましては,1中学校区1児童館を目途に年次的に建設を進め,今回議案をお諮りしております花山児童館を含め69館になります。未設置中学校区の解消につきましては,用地取得費が国の補助対象となっていないために,建設用地の確保が極めて困難な状況であります。今後とも他の施設との合築など条件の整った地域について早急に整備を進めてまいりたいと考えております。なお御要望の小学校の空き教室を利用した学童保育所の設置増設につきましては,現在学校内に設置しております学童保育所においても学校教育上の諸課題があり,困難であります。 本市の環境アセスメントの制度化につきましては,従来からの懸案事項であり,本市の自然環境や歴史的文化遺産を守るため,対象事業及び規模等について今日まで国などの関係機関と協議を続けてきております。本市において独自の制度化が必要であるという考え方は変わっておりません。これまでの協議の経過を踏まえて早急に制度化を図るよう取り組んでまいります。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) まず病児のデイケアについてであります。近年核家族化や女性の社会進出など社会的な環境の変化の中で,乳幼児を抱えながら働く両親が増え,こうした中で子供が一時的な病気にかかり,保育所での保育が困難と認められるような状況が日常的に見られることから,その対応の必要性については認識いたしております。本年度から厚生省において病児デイケアパイロット事業に取り組まれているところでございまして,こうした動きも見守りながら検討してまいりたいと考えております。 次に一般廃棄物処理基本計画の策定並びに清掃条例の改正についてでありますけれども,国の法改正の趣旨あるいは他都市の動向も踏まえて本市の一般廃棄物の適正処理,減量化,再資源化の方策,また行政,事業者,市民が果たすべき役割,更には多量排出事業所に対する減量計画書の提出などについて実効のあるものにすべく具体的作業に取り組んでおります。できるだけ早く策定し,御提案いたしたいと考えております。以上であります。 ○議長(川中増次郎君) 下薗総務局長。 ◎総務局長(下薗俊喜君) 審議会などへの女性の登用の件でございますが,第2次女性行動計画の推進事業の一環といたしまして,各専門分野の女性の人材リストの整備に取り組むとともに,各審議会委員の任期切れに先立ちまして総務局と個別に事前協議を行うシステムを検討中でございます。 また委員を推薦していただく関係団体などに対しまして,団体の長に限らず広い視野から女性の選出をお願いいたしていくなど,今後とも女性の登用率の一層の向上に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 中谷民生局長。 ◎民生局長(中谷佑一君) まず高齢者の家庭での生活を支援するための施策の推進につきましては,ホ―ムヘルパ―派遣事業,ショ―トステイ事業及びデイサ―ビス事業や,また独居老人等の生活の安全を守るための緊急通報システムなどの充実に努めてきたところでございます。今後とも先に策定いたしました京都市高齢社会対策推進計画に基づきながら,これらの高齢者福祉施策の着実な拡充に努める所存でございますが,具体的な計画につきましては,平成5年度中に策定を予定しております老人福祉計画の中で明らかにしてまいります。 次に学校週5日制により休業日となる第2土曜日の児童館,学童保育所の対応についてでございますが,子供が生き生きと伸びやかに育つよう,家庭や地域社会と触れ合う機会を増やすという学校週5日制の趣旨を踏まえることが必要であると考えております。したがいまして児童館,学童保育所は従来どおりに開館,開所してまいります。 最後に養護学校の卒業生に対する進路保障につきましては,障害のある生徒たちが自ら社会参加し,自立することを目指す進路の一つとして,授産施設等の果たす役割が重要であると認識しております。このため近年におきましては,洛西ふれあいの里に養護,授産,更生の各施設を総合的に整備したのをはじめ,伏見社会福祉総合センタ―の建設,更には共同作業所の助成などを年次的に進め,本年度におきましても山科合同福祉センタ―の建設を進めているところでございます。今後につきましても,障害のある生徒のニ―ズに応じられるよう引き続き努力してまいります。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 南澤衛生局長。 ◎衛生局長(南澤孝夫君) 環境アセスメントの制度につきましては,一般に公害の防止と自然環境の保全を目的としておりますが,本市におきましては,多数の文化財や歴史的遺産を有しておりますので,その対象となる事業や規模について地域性を考慮した制度となるように取り組んでまいります。 ○議長(川中増次郎君) 森脇清掃局長。 ◎清掃局長(森脇史郎君) 第2の空き缶処理施設についてでございますけれども,まず現在の空き缶再資源化施設,京都市横大路学園分別収集区域の全市拡大に合わせて処理能力の強化のために,これまで清掃局といたしまして施設の改善を行いました。また横大路学園におきましても,入所者定員増及び職員の増員が図られてきたところでございます。しかしながら今後とも空き缶スチ―ルの増加が予想されますので,現在第2の再資源化施設としてのリサイクルセンタ―の建設について,その在り方や運営方法等,他都市の事例も含めて調査研究を進めているところでございます。以上でございます。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 次に市政一般について,山本豊君に発言を許します。山本君。 〔山本豊議員登壇(拍手)〕
    ◆(山本豊君) 私は,日本共産党市会議員団を代表いたしまして,市長並びに関係理事者に質問いたします。 まず最初に京都駅高層化などまちづくりの問題についてであります。去る10月29日,京都市都市計画審議会は,現在の高さ規制31メートルを大きく上回る60メートルの京都駅高層化計画を認めるための特定街区の適用を広範な市民や我が党の反対を押し切って決定したのであります。 京都ホテルの60メートルの高層化と京都高速道路計画の決定強行に引き続く今回の決定は,いよいよ京都市自ら財界中心のまちづくり,古都破壊に本格的に乗り出したものであり,歴史都市京都のまちの将来に重大な影響を与える暴挙と断ぜざるを得ないのであります。 来年採用される教科書の中に,京都の高層化は,古都の良さが失われるという記述がされるほど,京都の高層化問題への国民の関心と批判は強まっており,今回の計画案の縦覧の際にも,7000人を超える市民から反対の意見書が上がったのはその現れであります。このような京都の将来を決する重大問題だからこそ,我が党は公聴会の開催や審議会の公開を求めたのに対して,京都市は,これらの要求を一切拒否し,わずか2時間半で審議を打ち切り,計画をごり押ししたのであります。 これで京都市はすべて事が済んだとばかりに,既にお膳立てされておりました11月26日の府の都計審にこの結果を送り,年内にも府都計審の決定を行いたいと田邊市長が述べるととに,京都駅の改築工事中の仮駅舎についても,駅舎本体部分の都市計画決定前でも法的に建築確認は可能としており,早ければ11月中にもJR側から建築確認申請が出され工事が始まる見通しとなっているのであります。これでは余りにもJRの言いなり,見切り発車だ,市民の声は届いたのか,世論への重大な背信行為だなどの怒りや不信感が広まるのは当然であります。 新聞報道の各界の談話の中で,元京都市幹部までが悪い例にならないか心配だ,駅という公共性の高い建物であり,建都1200年記念事業なのだから合意形成にもっと時間を掛けるべきだと述べられているくらい,今回の京都市の市民無視,JRべったりの余りにもひどいやり方に市民の怒りや抗議の声が日ごとに高まっているところであります。 そこで田邊市長にお尋ねいたします。市長,あなたのこのような住民無視のごり押しのやり方を改め,11月26日の府の都計審へ送る作業を是非とも中止すべきであると考えますが,市長の御見解を求めるものであります。 なお今回の高層化計画とともに,周辺の土地区画整理が強行されようとしておりますが,この計画についても住民から,本市の一方的説明と移転の強行に対して強い怒りと反対の表明がされているところであります。先ほどの市民の声と併せて,広く市民の声を聴くために,市長自らも出席された公開討論会を開くべきと考えますが,市長の御見解を求めるものであります。 さて京都駅高層化計画は,高さ60メートル,東西の長さ478メートルの高層,長大な建物で駅として機能する部分はわずか5パーセント,他の95パーセントは百貨店などで占められており,駅の建て替えとは名ばかりで,実際はJRのホテルと大百貨店建設そのものとなっているのであります。特に百貨店については,深まる不況の中で再開発に伴い出店を決めていた大津市の高島屋や草津市の近鉄百貨店などが百貨店の進出を取りやめたり,撤退を検討しているという状況なのに,わざわざ東京資本の伊勢丹という大百貨店を呼んでくる計画となっているのであります。 我が党議員団は,大資本の儲けだけを優先して,京都の景観,経済を破壊することは断じて許されないと厳しく追及してまいりましたが,これに対し京都市はアセスメントも実施せず,計画が景観にどういう影響を与えるのか,形だけのシミュレーションを行っただけで,JR西日本,伊勢丹という大百貨店進出についても,京都経済にどう波及するのか,都計審の場では経済の専門家でないので具体的なことは言えない,大店審で検討されているなどと自らの主張の根拠を何ら示すことができない無責任な態度に終始しているのであります。このように京都市自らが参加して推し進める京都駅高層化計画の経済効果について,活性化につながるとの漠然とした答弁しかできないような状況では,とても不況で苦しむ中小零細業者,商店の明日を任せ,この計画を認めるわけにはいかないのであります。 そこで田邊市長にお尋ねいたします。市長,あなたは,この計画で本当に京都の中小零細企業や商店が活性化するとお考えなのか,活性化するのはJRや伊勢丹など一部の大企業だけであり,このことは,もはや市民誰の目にも明らかとなっているところでありますが,田邊市長の見解を求めるものであります。 なおJR京都駅への伊勢丹百貨店の進出がきっかけとなり,既存の三つの百貨店が相次いで増床計画を打ち出すなど,熾烈な百貨店競争が激化しており,六地蔵周辺の大型店ラッシュと相まって深刻な不況の下,京都の中小業者に壊滅的な打撃を与えるものとなっているのであります。先に京都商店街振興組合連合会が国や府の補助を受けて大型店舗出店に伴う商店街への影響度調査を,従前通産省が指導しておりました計算方式に基づいて行い,今年の4月には公表される予定になっておりました。ところがこの調査結果から,商店街のほとんどが大打撃を受けるということが明らかになり,それに慌てた京都府がこの結果の公表を抑えたという問題が府議会で取り上げられたところであります。 この問題は,去る9月市会で我が党がJR京都駅ビルへの伊勢丹百貨店進出の再検討を求める決議案の討論のときにも指摘したところでありますが,いまだに公表されていないのであります。当然京都市にもこの結果報告が来ているはずでありますが,田邊市長,あなたはこの調査結果の内容を知っておられるのか御答弁を求めるものであります。もし知っておられたならば,このような大型店を導入する高層化計画を京都に活性化をもたらすなどと言えるはずがないのでありますが,この際,きっぱりとこの計画を撤回すべきであると考えますが,市長の答弁を求めるものであります。 質問の第2に,地下鉄東西線建設についてお尋ねいたします。大量輸送機関である地下鉄は,市内の交通渋滞の解消,通勤通学の便を図り,市民の足を守るとともに,市民本位の再開発事業など沿線地域住民の声を生かして整備されるならば,真にその地域を活性化し,市民生活向上に大きく貢献する事業であります。特に私が住まいしております伏見区醍醐や山科などでは,市周辺部から市内中心部に向かう朝夕の交通渋滞は言語に絶するものがあり,これらの地域を結ぶ地下鉄東西線の早期完成の要求は切実であります。 ところが当初目標の建都1200年,94年度完成については,山科駅前工区の未着工の問題などがあり,現在市は工期短縮や工程期間などの見直しを行っておられますが,本当に94年度完成は大丈夫なのか。期日どおりの完成に対し市民の期待が日ごとに高まっているのであります。山科駅前工区などネックになっている所には思い切った対策を講じる必要があると考えますが,どのような手立てを採られるのか,交通事業管理者の答弁を求めるものであります。 なお9月市会本会議で私が指摘しましたが,地下鉄東西線工事に伴い,漁業補償の名の下に工事業者が多額の協力金を部落解放同盟前府連委員長が組合長に就任している京淀漁業協同組合に支払わされている問題については,具体的な漁業被害が一切起こっておらず,全く不当なものであります。 こうした京淀漁協の利権漁りは,7年も前から我が党が繰り返し追及し,とりわけ業者の開発行為に京淀漁協の同意書を求めるなど,京都市がこれに加担したことは厳しい市民の批判を受けたところであります。ところが今なお依然として京淀漁協が不当な要求を続けているということは重大であります。このような不当な要求は,結果的には工事に伴う経費として市民の負担につながり,今後応じる必要のないことを理事者は各工事業者に周知徹底を図るべきであります。管理者の答弁を求めるものであります。 次に地下鉄東西線の建設に伴う醍醐団地総合再生事業に関連してお尋ねいたします。地下鉄東西線建設とともに進められております醍醐団地再生事業のその中核施設となるダイゴセンターの建設については,基本計画の策定段階となっております。本事業に向けての自町連など各団体の要望書でも明らかなように,醍醐地域の歴史的な史跡などと一体となった地元住民が誇れるような施設,文化性が高く,福祉,教育をはじめ高齢者から若者,子供たちまでが気軽に利用できる施設,児童福祉センタ―の機能をも備えた施設などなど,地元住民の声を生かした事業にとの期待が高まっているところであります。 そこでまず佐藤助役にお尋ねいたします。こうした住民の要望をどのように計画に反映させていくおつもりか,御答弁を求めるものであります。 同時にこのダイゴセンターの基本計画策定には,京都市とともに長谷工コーポレーション以下13社で構成される京都ダイゴ空間創造体が参加しており,一方でこのダイゴセンター施設の中に大型店の導入が計画されているところから,六地蔵近辺の近鉄百貨店やイトーヨーカ堂などの進出計画と相まって,地元商店街や各小売市場から死活問題だ,地元商店街などの振興につながる計画に,などの切実な声が高まっているのであります。こうした住民の不安は当然であり,計画策定に当たっては,長谷工などの大企業主導型でなく,あくまで行政の主体性を貫いて地元商店街の要求を採り入れ振興対策を優先させるべきであります。どのような対策をお考えか御答弁を求めるものであります。 また現在の外環状線道路の慢性的な混雑状況から,道路交通対策の具体化を,今後の醍醐地域のまちづくりや住環境はどうなるのだろう,などの声も出されているところであります。そこで,このような醍醐再生事業をはじめ,六地蔵近辺の大型店進出など大規模開発には,当然周辺住民にどのような影響を与えるのか,交通渋滞はどのようになるのかなどの社会的,経済的評価を含む環境アセスメントを行うべきであると考えますが,御答弁を求めるものであります。 更に道路交通対策の計画や商業施設の適正配置をはじめとした醍醐地域全体のまちづくり計画を策定すべきであると考えますが,併せて御見解を求めるものであります。 最後に本市の同和行政についてお尋ねいたします。本市の同和地域の住宅改良事業は,一部地域を除いてほぼ完了いたしました。また高校進学率もほとんど格差がなくなるなど,実態的差別は大きく改善されてきたところであります。ところが本市の同和行政は,依然として部落解放同盟に屈服し,本来差別解消に伴い縮小されるべき同和関係予算を肥大化させるなど,市政のすべての課題に優先させる異例の対応を採っているのであります。 今全国の多くの自治体では,特別事業としての同和対策事業を見直し,一般施策への移行を目指す取組が進められております。滋賀県や和歌山県の数地区では,環境改善事業の完了宣言がされており,大津市や高知市では同和対策部局を既に廃止したのであります。 このように今全国で同和行政の見直しが進んでいるときに,これに逆行しているのが田邊市長,あなた御自身の同和問題に対する姿勢であります。歪みを是正するための市会決議,すなわち87年の同和保育料の是正,体育館などの共同利用を求めた同和行政の見直しを求める決議や本年3月の同和事業終結の経年度計画の策定,部落解放基本法制定実行委員会からの脱退などを求めた同和問題の解決に関する決議を全く実行しないまま,部落解放基本法制定実行委員会に今なお脱退せずに加盟しているのであります。 田邊市長,あなたは,先の市会でこれらの決議について真摯に受け止めると述べられましたが,それならばなぜ直ちに脱退されないのか,市独自では脱退し,府の行政連絡協議会としては市も参加しているなどとのごまかしでない,副会長などの役員も引き上げるというように名実ともに脱退すべきであります。明確なる答弁を求めるものであります。 田邊市長,あなたが約束された同和行政の見直しは遅々として進まず,歪んだ同和行政を背景として起こった数々の公金不正支出事件についても,いまだに未解明のままとなっているのであります。例えば1983年に発覚した同和事業の用地買収に係る総額3億円に上る一連の公金不正支出事件や,86年に発覚した総額2億円に上る公金不正支出事件,そして他人名義での接待事件など,その後6年以上もたった今日まで,その解明に当たって市長はどのように努力されてきたのか。特に86年に発覚した総額2億円に上る公金不正支出事件については,暴力団組長が市職員を恐喝,実際の評価額の5倍以上の金額を要求し,更に金の支払が遅れたとして恐喝までしたという事件,また他の暴力団組長が所有していた土地建物の買収に当たり,架空の借家人をでっち上げ,偽の移転補償費を取っていた事件などであります。 昨日の本会議で我が党議員が指摘いたしましたように,今政治家と暴力団との癒着,行政への介入が大きな問題となっているとき,京都市においても,これをあいまいにしたままで済ますことは断じて許されないのであります。そこで3億円事件,2億円事件と合計5億円の公金の行方や,その使途の解明に当たって,これまでどのような取組をされてきたのか,返金を求められたことがあるのかどうか,また具体的に幾らの返金があったのかなど,その経過と結果について明確なる答弁を求めるものであります。 最後に同和保育料の見直しについてお尋ねいたします。この問題は,市も是正を約束し,他都市では既に是正が行われ,本市だけいまだに一般保育との間に大きな格差を残したままとなっている問題でありますので,特にお尋ねいたします。 我が党は,一般保育料の引下げなど施策の充実と併せて見直しを行うべきと一貫して求めてきたところであります。しかし本市では,一般保育料が最高4万5500円で生活を圧迫するほどの額である一方で,同和保育料は最高5000円と極端な格差を生じたままとなっております。京都市は,これまでの子供が何人いようが,保護者の収入にかかわりなく1世帯一律最高が月800円であった同和保育料を平成元年度にやっと改定し,最高5000円とし,年々引き上げて平成4年度,すなわち今年度には1万700円にするとしておりましたが,今も5000円で据え置いたままにしているのであります。しかも据え置く理由が,一部に改定に不満の人がいて5000円の改定保育料を納入してもらっていないので,了解が得られるよう努力を続けている。まず滞納整理をというのでは,まさに何をか言わんやであります。 その後市は,支払能力がありながら保育料の改定に反対して,いまだに未納の者8件に対して,当然のことながら差押えの法的措置を執ったことを明らかにされましたが,方針どおり同和保育料の格差是正を思い切って進めるべきであります。薦田助役の御見解を求めまして,私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) ただ今の山本豊議員の質問にお答えいたします。 まず京都駅の改築に関する都市計画決定の手続でございますが,10月29日に開催いたしました。原案どおり答申をいただいたところであります。審議会におきましては,極めて熱心な討議が行われたと報告を受けております。現在手続といたしましては,京都府知事に対して本市の案の承認申請を行っておるところでございます。 また本計画につきましては,コンペ作品の公開展示会の開催をはじめといたしまして,本年7月1日には,本市の基本的な考え方や関連する整備の方針につきまして,報道機関や市民しんぶんを通じて広く市民にお知らせし,また折に触れましていろいろな団体や個人の方々から御意見をお伺いしてまいりました。更に本市の都市計画審議会に先立ちまして,案の縦覧を行うなど都市計画の手続の中で十分に市民の声を聴いてまいりましたので御理解いただきたいと思います。 新しい京都駅の商業施設につきましては,にぎわい空間の形成,市域外からの集客,本市産品の販売促進などによりまして,既存の商業集積と一体となって京都商業全体の活性化につながるものと期待しており,今後ともその実現に向けて努力いたしてまいります。 大型店舗出店に伴う商店街への影響度調査につきましては,京都市は何ら報告を受けておりませんので,その内容については承知いたしておりません。 また新駅舎は,国内外に向けた玄関口として,国際文化観光都市の顔としてふさわしい複合機能型ターミナルとする計画でありまして,市民の皆さん方の利便の向上や京都の活性化につながるとともに,京都の歴史的風土及び自然景観との調和を図りつつ,新しい都市景観を創造するものであると考えており,その実現化を図ってまいります。以上です。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) 同和行政にかかわる数点についてお答え申し上げます。まず部落解放基本法実行委員会につきましては,今年8月の基本法京都府実行委員会大会におきまして,京都府及び府下全市町村で構成しております同和対策推進京都行政連絡会議の一員として参画し,京都市独自としては脱会いたしました。 次に改良事業の用地買収に関連した公金支出事件の処理についてでありますが,その究明に努めておりますとともに,執行体制の点検,整備を行い,更にその後の事務処理に適正を期すために,昭和61年12月に条例により設置いたしました京都市臨時不動産取得審理会からの答申に基づいて事務処理手続を改正いたしました。適正な執行に努めているところでございます。 次に同和保育料につきましては,平成元年度に最高額を800円から5000円に改定いたしました。しかしながら一部の保護者について,改定の趣旨についての理解が得られず滞納を生ずる事態となりましたために,滞納保育料を徴収することがまず先であるという考え方の下に督促あるいは納入指導を行いますとともに,支払能力がありながら滞納している世帯につきましては,法的手段を含めて対応している状況であります。今後とも保護者等の理解と協力を求める中で,同和問題解決の視点に立って保育料の徴収確保に努力してまいりたいと考えております。以上であります。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 醍醐団地総合再生事業についての御質問でございますけれども,仮称でございますがダイゴセンターは,文化,福祉,スポーツや商業など地域発展の核としての機能と地下鉄東西線醍醐駅の交通ターミナル機能とを有機的に連携した新しい都市拠点の形成を目指しております。この施設は,地域住民の皆さんはもとより市民の方々に幅広く利用されることが大切であると考えており,地元の要望趣旨を十分に踏まえまして,市民の御理解と御協力をいただきながら今後の事業化に反映させてまいりたいと考えております。 次に仮称ダイゴセンターの基本計画策定についてでございますが,現在,株式会社長谷工コーポレーションを代表とした京都ダイゴ空間創造体と本市との間で基本計画の協議を行っているところでございます。この基本計画案がまとまり次第,早急に地元商店街等への説明や調整を十分に行い,御理解と御協力を得ながら事業化を図ってまいります。 次に醍醐団地総合再生事業の実施に当たりましては,良好な地域社会の形成に努めるとともに,周辺環境への影響についても配慮しながら,地域住民や関係機関と十分協議を行ってまいります。また醍醐地域等における商業施設の設置による影響につきましては,消費者ニーズの変化など多くの要素によって左右されるために予測は不確定なものとならざるを得ませんが,計画される商業施設が地域の活性化につながるようなものとなるよう取り組んでまいります。更に地下鉄東西線の建設やそれに合わせた拠点整備をはじめとして,居住環境の整備を進めているところでありますが,醍醐地域を含む東部地域のまちづくりにつきましては,現在策定を進めております新京都市基本計画の中において,その在り方を検討してまいりたいと考えております。 ○議長(川中増次郎君) 依田管理者。 ◎公営企業管理者(依田満君) 地下鉄の工程の問題であります。地下鉄東西線の建設につきましては,御案内のとおり現在ほとんどの工区において本格的に工事を進めておりますが,数工区につきましては,工程上厳しい状況にあることは事実であります。そのため作業時間や施工方法などについて,工程短縮の努力を重ねているところであります。また唯一未着工である山科駅工区につきましては,地下鉄工事の予定区域について必ずしも再開発手法によらないで,借地又は買収により工事用地の確保をするなど早期着工に向けて取り組んでいるところであります。 次に建設工事に関連する漁業補償についての御質問でありますが,御指摘の件は,要するに工事に伴う濁った湧水を河川に放流する場合の対応の問題であります。地下鉄工事において湧水を河川放流する場合には,河川の水質基準を守るため湧水を浄化して放流することが必要であり,このため工事請負費用の中には一般的に工事湧水を浄化するための一定の費用を見込んでおりますが,具体的に湧水を処理する場合の個々の対応につきましては,請負業者の判断にゆだねても差し支えないものと考えておます。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 山本君。 〔山本豊議員登壇(拍手)〕 ◆(山本豊君) ただ今それぞれ御答弁いただいたわけでありますが,京都高層化計画に関しての田邊市長の答弁については,いずれもまともにかみ合った答弁が一切なく,いかに多くの市民の怒りや抗議の声があろうが,ただひたすらJRなどの言いなりに,予定どおりごり押しするという市民無視の答弁に終始されたわけでありますが,必ずや市民の厳しい審判が,市長,あなたに下るであろうことをここに明確に指摘しておくものであります。 なお同和問題の部落解放基本法制定実行委員会からの脱退問題などでは,いまだに御答弁がないままであります。市独自では脱退としたと言いながら,府の行政連絡協議会として新たに市として参画し,薦田助役が現に副会長として役員に名を連ねているばかりか,引き続き300万円の助成金を出しているではありませんか。今までと何ら変わりないのであります。このようなごまかしでない,まともな御答弁を市民の前でされるよう強く求めまして,私の質問を終わります。(拍手)-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 次に市政一般について,永嶋久仁朗君に発言を許します。永嶋君。 〔永嶋久仁朗議員登壇(拍手)〕 ◆(永嶋久仁朗君) 公明党を代表いたしまして一般質問を行います。 昨日の本会議で平成4年度一般会計補正予算をはじめとして,国民健康保険事業,中央卸売市場第一市場,上下水道事業,そして共産党は退場されましたが,駐車場事業など七つの各補正予算が可決されました。これらのうち,一般会計では第2次緊急特別融資として50億円の融資枠と63億円の預託金が可決されたのであります。これは8月に補正が組まれた第1次緊急特別融資80億円に次いだ不況対策第2弾であります。 北風に向かってじっと耐え,深刻な不況と必死に戦っている中小零細企業に対し,本市は今後無担保無保証の充実や返済期間の猶予をはじめとし,今回の第2次特別融資予算を効率的に,そしてきめ細かな配慮と運営を行っていただきたいことをまず最初に強く要望しておきます。 〔川中議長退席,可児副議長着席〕 ◆(永嶋久仁朗君) (続)今は変化の時代ではないでしょうか。時代と時代の転換期であります。国際的にも国内的にも,政治,経済,あらゆる分野でリストラが必要となっております。例えば湾岸戦争以来続いている国連の力。かつて米ソ2大国華やかな頃では思いもよらないことであります。冷戦構造の崩壊で防衛観も変化し,国際政治の枠組みも変わりました。想像もしなかった大国ソ連の消滅は,自由主義陣営をして敵視から守る立場へと逆転しました。 長かった大国アメリカの力の後退でガット体制にきしみが生じ,国際通貨基金の体制もドルの信頼失速で大きく揺らぎ,欧州の通貨不安にも影を落としております。接戦と思われたアメリカの大統領選挙で民主党のクリントン氏が圧勝したのも,国民の変化を望む意思が反映されたと考えられるのであります。 国内では,リクルート,共和事件が真相解明不十分なうちに,またも佐川急便,皇民党事件が発生,一国の総理選出時に暴力団が絡んでいたことが明るみに出て,竹下辞めろとの声とともに,今や国民の政治不信は頂点に達しております。派閥抗争は,やがて政界再編成へと流れ,55年体制の崩壊へと向かっております。金融機関による前代未聞の巨額な不正融資,土地神話やバブルの崩壊,いずれもこれまでになかった大きな変化であります。 一方,本市においても,人口の減少や京都らしい風趣,景観の変貌により,個性と魅力に満ちた活力のある大都市であり続けるかどうかの岐路に立っております。こうした折,今後の京都のまちづくりの指針となる健康都市構想と土地利用及び景観対策の在り方を含めた新京都市基本計画を策定中であることは,時宜を得たものとして大いに期待するところであります。この新基本計画は,来年3月にまとめられるとのことですが,それではこの実施計画はいつごろになるのでしょうか。田邊市長,お答えください。 次に都心部の再生対策についてお尋ねいたします。釈迦に説法だと思いますが,歴史都市のかなめは都心部にあると思います。その理由は何と言っても文化遺産と社会遺産が都心部に集中しているからであります。ヨーロッパでも日本でも,現代都市の中心と昔の都市の中心がほとんど重なり合っているのが何よりの証拠であります。また都市づくりは,人口とも深くかかわり合います。その増減によって活力の有無が問われ,人口規模の大小によっても施策の仕方が違ってくるからであります。 新基本計画案の骨子を見ますと,都心部で人口の減少と高齢化の進んでいることが指摘され,都心部の再生をうたっておられるにもかかわらず,人口の将来展望では,本市全体の人口は最悪の場合130万人と予測されているだけで,都心部の人口については何ら触れられておりません。人口の誘致対策も示されておりません。それはなぜなのでありましょうか。 本市は他の大都市と比べ,かつて都心部の居住が大変高かったのが特徴でありました。職住一致の居住構造となっていたためであります。ところが現在では,地価の高騰,相続税問題,家屋の老朽化,高い家賃などで次代を担う若者が流出しておりますし,職住共存の地域構造が変化しているのであります。 私は,一昨年秋,公明党市会議員団を代表いたしまして,都心部定住対策の一つとして新婚世帯の家賃補助制度を提唱し,おかげさまで今年より実施されております。しかし都心部の借上公共賃貸住宅を建設する希望者は,二,三件あると聞いておりますが,今のところ確定したものとしての発表はございません。 一方,都心部には,京都らしさを醸し出す京町家,袋地の一角などがございます。これらは京都の個性と魅力を高めるという計画策定の趣旨にはぴったりの景観材料であり,最適のロケ―ションであります。にもかかわらず,京町家の活性化事業にしても昨年度に調査費が付いたまま,今年度は何ら予算化されておりません。今年度からスタ―トした袋小路の共同建て替えなど再生事業にしても,希望者がわずか数件で,今の時点では助成金が打たれたのは1件のみであります。誠にもって都心部の再生には心もとない限りであります。どうも歴史都市のかなめは,都心部にあるという認識が薄いのではございませんか。シンボル道路,街路沿いのデザインポリシーや景観アセスも決めなければなりませんし,文化的な魅力の密度をもっと高めなければならないし,自動車交通の制限などやらなければならない課題は山積みであります。 そこでお尋ねします。都心部の人口をどのように想定されているのでしょうか。現在進められている都心定住対策への取組と決意と併せてお答えください。 次に歴史都市としての制度改正と財源確保についてお尋ねします。新京都市基本計画を策定し,それらの施策を実現するには幾らお金が掛かるのか,財源問題も重要であります,当然膨大な予算が必要でしょう。財政基盤が弱く,収入増が見込めない本市にとっては,絵に描いた餅に終わりはしないかと危惧する一人であります。 平成5年度の国家予算措置に対する要望として,本市は,今回初めて歴史都市再生のための特別配慮を関係各省庁に行われたところであります。その内容は,1200年の歴史都市京都の景観保全や,より魅力的で新しい都市景観を創造するための4項目で,国家的見地からの財政的支援と制度の改正のお願いであります。この4項目を要約いたしますと,1,古都保存事業にかかわる国庫補助拡大と保全のための土地確保の財政的支援。2,伝統的建造物群保存地区に係る国庫補助の拡大。3,相続税負担についての特別配慮。4,電線類地中化の財政的支援と企業への協力要請などとなっております。 中でも目を引きますのが相続税負担の特別配慮ですが,この実現の見通しはあるのでしょうか。また制度の改正とは何を指すのでしょうか。恐らく昭和25年に作られた京都国際文化観光都市建設法や昭和52年の国際観光都市の整備のための財政上の措置に関する法律のことだと思いますが,建設法は,戦後の経済復興への寄与といった制定当時の考え方が今日の時代にそぐわなくなっておりますし,また財政上の措置に関する法律においても,その対象都市の規模や国際的に果たすべき役割にかなりの違いがあるため,これまで本市には余り役立っていないことは証明済みではありませんか。 有名無実だから魂を入れるというのも分からないではありません。しかし建設法は,その表題が観光都市であり,今回要請された表題の歴史都市ではありません。措置に関する法律については,なぜ京都だけがと同じ法律を持つ自治体から不公平を問われはしませんか。法改正の実効性は乏しいように思えてなりません。いっそのこと今回要請された内容での,景観のみに絞りました新しい法律や制度こそ必要だと思いますが,田邊市長の御所見をお伺いいたします。 また文化都市である京都市が実はもう一つの顔,工業都市であることをどれだけの人が知っているでしょうか。統計を見ますと,1990年に本市の工業出荷額は約3兆円,全国自治体の中で8位という高順位を示し,30年前と比べて13.5パ―セントの伸び率。この伸び率は政令都市の中で一番ですからびっくりするばかりであります。しかも市内出荷額の10パ―セント以上のシェアを占める業種が電気,繊維,酒とたばこ,輸送用機械,出版と印刷と5業種に及び,繊維だけが突出しておりました30年前と比べてもバランスが良い構造となっております。元来,大都市は大抵,サ―ビス業である第3次産業化へと進んでいくのが常道です。だから本市のように物づくりをしっかりやっていたことは意外であります。ところが最近,本市も他都市同様に,生産場所が市外へと流出し出したことが気掛かりな点であります。 西陣産地を例えてみれば,平成3年度出荷額は約3000億円。そのうち織機の登録台数から推定いたしまして,3分の2に当たる2000億円が市外で生産され,市内は約1000億円です。この比率は昭和51年ぐらいから逆転し,今では市外の生産高の方が多くなっております。本市が工業の顔を持っていると言いましても,西陣産地で見れば,全出荷額の3分の1しかないのが実態であります。これは事業所が市内にあり,生産は外でするという産地特有の構造からなっているもので,土地や労働力確保の困難,そして生産コストのうえで市外生産の傾向がますます強くなっております。時期を逸したかつての大学流出の苦い経験を生かし,今のうちに手を打たなければ,人口減少と相まってインナーシティは一段と進んでしまうことでありましょう。 工場用地をいかに確保すべきかについては,工業用途地域の容積率アップも一つの手ではないでしょうか。セットバックで都市空間を広げたり,緑化により環境整備を進めることなどを条件にしてもよいのではないかと思いますが,いかがですか。このためには市民の協力が必要であります。市民の皆さんに,本市は工業都市でもあるということを認識していただくよう,しっかりPRすべきだと思いますがいかがでしょうか。 次に健康と栄養についてお尋ねします。健康は人間にとって最も大切なものであります。お金はなくても健康なら働けるし,逆にお金持ちでも病人なら寂しい人生であります。この健康を維持する3大要素は,栄養,休息,運動と言われております。中でも栄養が最も大事なことだと言われております。 こんなデ―タがございます。日本人に不足がちなカルシウムは,骨や歯の発育維持に必要な栄養素であります。そればかりでなく,いらいらした神経を鎮静させる効用のほか,筋肉の収縮,止血のための血液の凝固,有害な鉛,水銀の重金属の吸収を抑える働きをするのであります。必要量は,成人1日で600ミリグラム,不足すると骨からカルシウムを引っ張り出します。いわば骨は,カルシウムの貯蔵庫で慢性的不足は成人病の引金になったり,骨粗鬆症を誘発すると言われております。 これほど飽食の時代に,なぜカルシウムが不足しているのか。日本の土地が火山灰地でもともと土壌に少なく,そのため野菜に含まれる量も少ないのは御承知のところでございますが,また一面,数多くの食品との組合せをしないとカルシウムは吸収されません。したがってカルシウム不足は,献立の組合せを考えない食生活にも一因があると言えます。また食品添加物の燐酸塩が含まれているインスタント食品,加工食品などを多く食べることがカルシウムを尿から排泄させると言われており,カルシウムを消費させる食べ物にもその原因があります。 妊婦がいらいらするのは,胎児の骨の形成のため母体カルシウムを奪われるからであり,現代っ子のいじめ,校内暴力など,その陰湿さ,狂暴さはカルシウムの不足が要因となっているという栄養学者もおられるほどであります。平成2年,厚生省の国民栄養調査でもこのカルシウム不足が指摘され,骨粗鬆症の増加と併せて注意を促しております。 昨今の児童,生徒たちがカルシウム不足であることは,今では誰でも知るところであり,だからこそ公明党市会議員団は,中学校の給食実施を訴えているのではありませんか。そもそも我々の体を作るのに必要な蛋白質は約20種類のアミノ酸で作られております。問題なのはそのうちの必須アミノ酸と呼ばれる8種類が体内で作ることはできないことであります。したがって食べ物から摂取しなければならないのであります。毎朝の御飯と味噌汁という献立は,500年以上も続いている日本人の食生活であります。ただ味がよいというだけで,このコンビが生まれたのではありません。リジンが少ない米,メチオニンが少ない味噌,これらを補い必須アミノ酸すべてを摂取することができるからで,古来からの生活の知恵と言えましょう。これは献立の組合せが大事なことの一例です。 我が国が驚異的な経済成長と繁栄を見せ,男女とも世界一の長寿国となった要因を探ってみて,それがバランスのとれた日本の食にあったと外国では日本食ブ―ムが起こっているのもうなづける次第です。バランスの良い食事こそ健康の源なのであります。 そこで提案いたします。市民が食事の栄養について,もっと関心を持つガイドブックの作成や栄養教室を開いたり,栄養を含めた健康づくりの指導員を育成し,バランスの良い栄養のある食事をするように啓発運動を行ってはどうでしょうか。衛生局長の御所見をお伺いいたします。 次は病気の予防対策についてであります。健康対策は,治療より予防と言われて久しいものがあります。しかしその実態は進んでおりません。市長さん,市民が治療費に幾ら使っているのか御存じでしょうか。平成3年度の国民医療費は1人17万5000円,全市で約2552億円という膨大な額であります。2500億円ですよ。この額は本市の投資的経費の2倍にも当たり,10年前の本市医療費と比べて約50パ―セント増となっております。この傾向は全国でも同じですが,この10年間,本市だけで約2兆1200億円もの医療費が費やされているのであります。人間が宇宙に行ける時代に,日本が誇る医療技術と体制をもってしても,病気を抑え込めないとはむなしい感じがするのであります。 ところで予防は,公衆衛生では3段階に分けております。健康の増進と予防を1次予防,早期発見と早期治療を2次予防,障害の抑制とリハビリを3次予防としております。最近,生活環境や社会環境の改善を目指すゼロ次予防が注目され出しました。 この中で純粋な1次予防について,本市の予防費を見てみますと,平成3年度で概算8億4400万円,市民1人当たり約578円,10年前である57年度では7億2100万円,1人当たり約489円でしたから約18.2パ―セントの伸びです。治療費50パ―セントの伸びに比べますと,これではお話になりません。迫り来る高齢化社会では治療費の増大が予測されますし,一刻も早く予防費を大幅に増大し,予防に力を入れるのが当然ではございませんか。田邊市長お答えください。 さて一般的な話ですが,我が国では予防施策が進められないのには,それなりの理由がございます。その一つは,効果が現れにくいということであります。二つには,従来の治療方法が感染症から成人病へとスイッチされていないためであります。感染症はかかるとかからない人とがあり,治療と安静にしておれば治ります。しかし成人病は,全員がかかる可能性を持ち,いったん病気になると治らない。いかに進行を食い止めるかが課題であり,病気と一緒に生存しなければなりません。したがって,かからないようにすることが根本です。ところが成人病時代と言われる今日,感染症のための治療体制が主体で,第1次予防に余り目が向けられていないのであります。 三つには,誠に言いにくいことでございますが,予防ではお医者さんが食っていけないという現在の医療システムになっているからであります。現在は治療システムであり,予防システムの確立がされておりません。予防はあくまで保健所であり,行政が行うことになっております。だからこそ健康都市構想を打ち出された田邊市長に146万市民の健康についてお願いするしかないのであります。くれぐれもよろしくお願いいたします。 そこでいま一つ試みていただきたいものがございます。健康なら先に決めていたお金を支払うが,病気ならそれ以上支払わないという健康の結果管理システムでございます。このシステムメリットは,これまで健康について研究してこられなかったお医者さんを,健康維持努力に積極的に参加させることができることです。したがって市民の健康維持の努力は,行政だけでなく専門の医療関係者をも巻き込むものですから,これほど強い味方はありません。 このシステムは外国では昔からあったようですが,1988年,アメリカのポールエルラット博士が改革運動論として発表,大きな反響を呼んでおります。といいますのも,アメリカでは,医療を含めたヘルスケアの費用は日本の約5倍,アメリカ国防費の3倍にもなって非常に困っていたからであります。空き缶条例で全国の注目を引いたように,特に高齢化の進んでいる本市でひとつ研究なさってはいかがでしょうか。 次に芸術や文化の活性化についてお尋ねします。都市は芸術をつくり,芸術は都市を築いてきたと言われます。1200年の都市を誇る京都は,それゆえに芸術文化のストックを築き上げたのであります。ある知識人いわく,もし仮に京都が第2次世界大戦で重要な部分を喪失していたなら,日本の国,都市,そして文化のアイデンティティを持ち得ただろうか。京都はいろんな面でアイデンティティがあるのです。 落語一つにしても,お寺の説法の話芸が原点だと言われておりますし,歌舞伎は四条河原の出雲阿国,お茶はもちろん日本画,陶芸等数多くございます。食べる以外に習い事をして,人間の資質を高めようとした草の根文化,いわば市民文化,これに対し本業に花開く専門技術の一輪文化,この両者が相まって文化の底上げとストックが行われてきたのは言うまでもありません。 プロはアマによって財政支援と理解の輪を広げ,アマはプロの高い芸術センスに感化されていく,こういうシステムが芸術文化を支えてきたのであります。しかしながら近年,東京一極集中と言われる状況が生じ,また他都市の文化振興への積極的な取組により,京都の文化は相対的に低下し憂慮されております。 一方,世の中はゆとり,付加価値を求める傾向にあります。カルチャーセンターや何々教室など各地で花開き,今後の余暇時間と長寿社会の社会現象から,ますます芸術文化に関心が高まることでありましょう。それだけに本市は,他都市に後れることなく,名実ともに世界の文化都市として伝統のストックに甘んじない21世紀に向けた文化の風土づくりを進めて,芸術文化を活性化しなければならないのであります。自他ともに認める文化首都京都で,これまで総合的な文化構想がなかったのが不思議なくらいです。遅まきながらでも総合的な文化行政の指針を作るべきではないでしょうか。伝統の継承だけでなく,新しい文化の創生は,異文化と異文化の衝突の中にこそ生まれるものだと思います。その意味で芸術文化関係者や団体の海外派遣など交流の支援を行い,また風土づくりのため一人一趣味運動を提唱する次第であります。文化芸術を地域で推進するリーダーには,経済的援助を行う文化事業奨励金制度も必要ではないでしょうか。 また公明党市会議員団が先の予算要望において求めております第2美術館や所蔵美術品の常設展示館,そして日本文化センター設立時に併設の予定だった民俗資料館などの建設はどのようになっておりますか。これらの見通しについて文化観光局長,併せてお答えください。 更に広い意味での文化ともいうべき和風迎賓館は,京都御苑で造られるべきだと思いますが,何がネックになって確定しないのか,実現にはどのような手立てをされるのでしょうか。これを契機として和風迎賓館にふさわしい和食や京菓子の味文化,和装文化,日本庭園など京都の文化振興を図る絶好のチャンスと考えます。中でも古来より伝えられてきた味文化の殿堂を考えられてはいかがですか,薦田助役のお考えをお示しください。 山は市で,川は府で,京都の魅力ある自然を守り続けます。府は,ふるさとの川づくりの一つ,花の回廊として三条七条間鴨川の整備を始めましたが,その完成後右岸の改修工事を行い,これに伴って本市は,待望の先斗町蛸薬師から新門前までに橋を架けることになっております。この橋は約75メートル,せっかく造るのですから周囲にマッチしたデザインはもちろんのこと,伝統芸能や市民芸術が披露できるイベント舞台が橋の上に造れないものでしょうか。橋の中央部を幅広く大きくしたり,あるいは橋の延長として河原や鴨川の水面を水上舞台にすれば,観光の青空イベント舞台に最適であります。近代ビルが建ち並ぶ祇園界隈,京町風の建物が並ぶ先斗町,そこをつなぐ橋はまさに昔と今を渡る歴史橋。新しい観光のスポットになると思います。ロケーションが良いだけに工夫されてはどうでしょうか,佐藤助役お答えください。 次にエイズ対策についてお尋ねいたします。昨今エイズ問題が再び活発化しつつあります。といいますのも,昭和61年度をピークに年々減少していた相談件数が昨年度から増加に転じていることが分かったからです。こうした原因は,5年前まではエイズは個人的な病気とし,患者を蔑視しがちでしたが,今日では行政,社会,企業のエイズについての考え方の変化にありそうです。またハイリスクのグループから一般人へと普遍化していることも相談件数増加の一因になっているのでしょう。 言うまでもなくエイズはHIVという名前のウイルスに感染して,2年から10年後に免疫不全を主な病態として,日和見感染とか悪性腫瘍などの発病を起こし死に至るもので,現在のところ予防薬も治療薬もありません。1981年アメリカで初めて発見されたエイズは,4年後の1985年我が国でも初めて発見され,その2年後,神戸市で患者が死亡して大きな騒ぎになりました。その結果,平成元年にエイズ法が制定されたのであります。 一方,世界では流行がにわかに加速し,WHOでは人類的に大変危惧しているのであります。80年代はHIV感染者が増加した時代ですが,90年代はその増加と死に至るエイズそのものを発病する人が激増したり,普通の家庭生活を営んでいる一般人にも増加しているのが特徴とも言われております。 現在,世界でおよそ50万人を超えるエイズ患者がWHOに報告されておりますが,実際には成人患者だけで既に100万人,母子感染による小児患者も50万人に達していると考えられております。更にHIV感染者は800万人から1000万人,わずか8年後の2000年には4000万人に達すると推定され,この10年間で1000万人の孤児が出るものと言われて大変な事態となっております。 我が国では,ともすれば対岸の火事視しがちだったエイズですが,厚生省は今やっと爆発的感染を防ぐ最後の機会として,来年度から3年間集中的にエイズストップ作戦を展開します。その初年度分として約103億円の対策費を概算要求しました。これは本年度予算の5倍ですが,事の重大性を考え,遅ればせながらそれを一気に成し遂げようというものであります。その背景には,エイズ対策の機会を失い,今や対策予算4000億円とも5000億円とも言われているアメリカの二の舞になるおそれがあるからであります。 本市におけるエイズ対策は,各区の保健所での相談や中京保健所での検診をはじめパンフの作成,中,高校での保健教育など他都市と比べて進んでおります。外国人20万人を含めた年間4000万人の観光客があることを思えば,他都市との比較の問題ではありません。 そこでお尋ねいたします。今回,世界エイズデーにちなんで無料検査を実施されましたが,引き続き無料検査を実施すべきではないでしょうか。中京保健所だけでなく,より多くの保健所で検査を実施してはどうでしょうか。カウンセリングの確立を早急に行うべきではないでしょうか。官民の病院挙げて受入態勢を整備されるよう励んでいただきたいものですが,お考えはどうでしょうか。市民への予防啓発と中,高校生の学校教育での充実策はどのようになっておりますか。市の来年度予算も国同様の5倍以上に増強すべきだと思いますがいかがでしょうか。以上お答えください。 次に福祉について2点お尋ねいたします。まず高齢化社会対策についてであります。現在13.4パーセントから2000年には17.2パーセントとなる本市の高齢化社会,世界に例を見ない速さで迫ってまいりますが,大都市の中でも本市はとりわけ高齢化が進んでおります。このため本市は長寿社会のモデル都市や他の大都市の模範となる取組を目指しております。その反面,施設整備一つをとっても,とても進んでいるとは言い難いのであります。例えば私ども公明党上京支部が行ったまちづくりアンケート調査結果で,最も希望の多かった特別養護老人ホ―ムを見ますと,市民1人当たりのベッド数は他の政令都市の中でも決して高くはございません。ゴールドプランの数値から見ても約半分の達成率であります。 これまでは土地の確保や建設費の負担が困難なため,なかなか思いどおりには進みませんでしたが,今後は公有地の無償貸与や保育所など社会福祉施設内での合築,施設建設費に対する助成方法の改善などを図っていただき,模範となるよう強力に推し進めてもらいたいのであります。 去る11月16日,地元上京区では,社会福祉協議会,保健協議会連合会,老人クラブ連合会の各会長はじめ共産党を除いた自民党,公明党,社会党の市会議員とで,市長に特別養護老人ホ―ムをはじめとする老人福祉施設を身近な所に造って欲しいと要望したところであります。中でもともに生きてきた地域の人とのコミュニティが続くよう,これまで建設されていない上京区など都心部の建設を強く訴えたところでありますが,今後の見通しと取組への決意を民生局長からお聞かせください。 また大都市の中で高齢化社会対策の模範となるのは,きめ細かい施策の展開と対応できる体制が必要であることは言うまでもありません。施策については,今後の総合指針となる京都市高齢社会対策推進計画が去る10月に誕生しておりますが,体制については何ら変化しておりません。施策の展開にしましても,数多くの部局にわたっており,この際,高齢化社会対策部を思い切って局に昇格されてはいかがでしょうか,薦田助役からお答えください。 福祉の2点目は障害年金の受給資格についてであります。昭和36年に国民年金制度が発足し,すべて日本人は何らかの年金に加入するとした国民皆年金制度が実施されたのは御存じのとおりでございます。しかし国民年金法には,国籍要件があったため在日外国人の方々は加入することはできませんでした。その後法律が改正され国籍要件がなくなったため,57年から外国籍の人も国民年金に加入できるようになったのであります。 問題は,その中身であります。加入が認められた57年,既に障害があった20歳以上の外国人は,障害の発生時に加入していなかったという理由で,現在でも障害基礎年金を受けられません。といいますのは,障害年金は保険的要素があり,障害を被る以前に年金に加入していなければならないのは当然でございます。しかし障害発生時に未加入だったと言われましても,在日外国人の方々は,56年以前では国籍要件で加入できなかったわけでございますから,いわば法律の谷間になっております。 また日本人についても,障害がいったん軽くなった後再び悪化した場合などは,現行制度の下では障害基礎年金を受けられないのであります。この点については,経過措置として受給資格を与えるべく国に要請していかなければなりませんが,いつになるか分からない国の制度改正を待つまでもなく,福祉施策の観点から本市独自の救済措置を採るべきであると提案するものであります。 神戸市では,昨年から1,2級の身体障害者手帳やA判定の療育手帳持参の20歳以上を対象に,神戸市重度心身障害者特別給付金制度を制定し大変喜ばれております。このような制度を創設し,障害者福祉を更に一歩前進させてはいかがでしょうか,お答えください。 次にJR京都駅ビル改築に伴う電波障害についてお尋ねいたします。地上16階建て,東西約460メートルに及ぶJR京都駅改築ビルの電波障害は,京都ホテルの被害8000世帯より大きいことが確実視され,新たな論戦を呼んでおります。市内には,ここ数年,中,高層ビルが数多く建てられ,その度に電波障害が発生して,周囲の住民と施工主との間で解決を目指して交渉が繰り返されてまいりました。中でも問題なのは複合受信障害です。一般家庭で電波障害が出た場合,その原因が建設中のAなのかBなのか分かりにくく,解決がスムーズにいかない場合がよくあることであります。 最近,中京でいったん住民とビル会社による有線の配線がされておりましたが,維持管理費をめぐり有線管理会社とビル管理会社とが争った結果,先に敷設していたテレビ有線を切断し,住民がテレビを見られず問題化したことが明るみに出ました。今やテレビは家庭内での貴重なメディア,情報入力の窓口,テレビなしでは一日も過ごせない日常生活となっております。それだけにこの電波障害は大きな社会問題と言わねばなりません。これに対し国では,このような受信障害の解決を地方自治体に求める審議会答申が出ているところであります。平成4年度第1回衛生問題検討委員会でも,公共投資の重点は複合受信障害対策の充実にあるとし,資金は国,都道府県及び市町村のそれぞれの3分の1負担という,いわゆる四日市方式で地方自治体と共同でケ―ブルテレビ局の設置を始めることになったのであります。JR京都駅ビルの改築に伴う電波障害に対し,本市はどのような方法で対処されるのかお聞かせください。以上,これで第一質問を終わります。(拍手)-------------------------------------- ○副議長(可児達志君) 暫時休憩いたします。 〔午前11時46分休憩〕 〔午後1時1分再開〕 ○副議長(可児達志君) 休憩前に引き続き,会議を行います。-------------------------------------- ○副議長(可児達志君) 休憩前の一般質問を継続し,永嶋久仁朗君の質問に対する答弁を求めます。田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 永嶋議員の御質問に対してお答えいたします。 まず新京都市基本計画についてでございますが,この具体化の時期はいつごろかという御質問であったと思いますけれども,ずっと申し上げておりますように,輪郭につきましては今年度中に策定いたすようなスケジュ―ルを持っております。したがいまして来年度,5年度早々の5月ごろを一応念頭に置いておりますけれども,具体的なプログラムについて皆さん方に発表して御協力をお願いするという手順にいたしております。 次に都心部の人口対策でございますが,都心部の人口というのは,大体昭和30年ごろから減少が起こっておりまして,転出が超過状態にあると思います。御指摘のように中心部には,文化遺産あるいは社会的な遺産が非常に多くある特性を持っておりまして,また人口の2割が今日居住されております。他の大都市と違いまして職住一体的な状況が今日もなお多くあるわけでございますけれども,今私たちが考えておりますのは,今世紀中にこの都心部の人口の減少に歯止めを掛けようという基本的な考え方を持っておるわけでございます。しかしながら今日建て替え時期を迎えておりましたり,あるいはまちの構造に活性化をもたらす条件にそぐわない事柄が多くございますし,またかねて皆さん方がおっしゃっておられますような借上公共賃貸住宅などの制度につきましても,今日大体100戸ぐらい建てることができるような目鼻も付いてきておるような状態にあるわけでございますので,都心部におきましても,人口の定着を図りますと同時に,呼び戻しを図るような政策を進めまして,子供から若者,高齢者まで多様な世代の人が住み続けられるようなまちをつくっていきたいと考えております。 次に歴史都市京都再生のための国への要望でございます。従来私どもは新しい予算要望,事業の要望につきましては,御存じのように健康でやすらぎのある福祉のまちづくりをはじめといたします4項目につきまして,国の方へお願いいたしておるわけでございますが,今年は特に来年度に向けまして,一番初めに古都再生のための国家支援の要請ということを掲げておるわけでございます。その中で法あるいは制度の改正に向けての要望を進めておるわけでございますが,これは一つは伝統的建造物群保存の整備の問題でございますとか,あるいは電柱の地中化の問題なども含めまして,いろいろ新しい観点から今私たちが京都で進めております新しいまちづくりについて,国の積極的な支援をいただこうということでございます。そういう状況でございまして,今後とも国の一層の理解と支援を得られるような制度的な検討も行いながら,国に対する要望を強めていきたいと思っております。 次に健康対策でございますけれども,カルシウムも大事でございますし,アミノ酸も非常に大事であると思っております。健康観につきましてもですね,御指摘のような1次予防,2次予防,3次予防,あるいは更にゼロ次予防と申しまして,生まれつき身体障害,奇形などを起こさないようなことに対する配慮も言われておるわけでございますが,本市におきましては,健康都市構想を進める中で,特に包み込む心,健常者だけでなく障害者も含めた人を主役とした,健康を指標としたまちづくりを進めていこうと思っておるわけでございまして,今後とも検診事業に努めましたり,あるいは栄養につきまして市民の関心を更に高めていきますために栄養改善講習会なども開催いたしましたり,総合的に健康対策を進めていきたい。食事のことは日常的に非常に大事なことであると理解いたしておる次第でございます。 エイズ感染の問題でございますが,これは過去の歴史を見ましても,フランスが割合緩やかにやったために今日非常に困っておるという話も聞きますし,イギリスが厳しくやったために非常にいい成績を今日持続しておるということも聞きます。御指摘のように厚生省におきましても新年度予算では,エイズ対策予算を5倍に伸ばすという状況もあるわけでございますが,既に本市におきましても,過日発表いたしましたようにエイズ患者あるいは感染者に対する対応につきまして,市内の数病院の理解を得ながら,協力を得ながらやっておるところでございます。 これは学校教育の面でございますとか,あるいは市民に対する啓発でございますとか,検査,カウンセリング,多様な内容を持っておるわけでございますが,厚生省で国立病院におきますエイズ治療の拠点病院構想を持っておりますので,こういう事柄と連携しながら本市の受入態勢の整備に努めていきたいと思っております。 それからJR京都駅ビル改築に伴う電波障害でございますけれども,これは建築主体であります京都駅ビル開発株式会社が責任を持って対処すべきことであると思っております。したがいまして障害範囲などにつきましては,今後京都駅ビル開発株式会社が現地調査などを行って,障害の起こる地域の特定などに努めていくわけでございますが,今後その電波障害を受けると予想されます地域につきまして,住民の方々が支障を来さないように強力に会社を指導してまいりたいと思っております。 ○副議長(可児達志君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) まず総合的な文化行政の指針を作ることについてでございます。本市では,昭和53年に行いました世界文化自由都市宣言の理念を実現するためにコンサ―トホ―ルの建設に着手いたしますとともに,今日まで中部文化圏構想に基づきまして地域文化会館の建設あるいは芸術祭典・京,あるいは国際音学祭などをはじめとする文化,芸術の活性化につながる事業を展開してまいっております。しかしながら21世紀を展望しましたときに,現状のままでは十分と言えません。本市を特徴付けております文化都市としての京都を更に発展させる方向を考えていかなければならないと思っております。このため京都のまちづくりにおきます文化政策の重要性などからも,御指摘のように長期的,総合的な文化行政の指針を作成する必要性があると思っております。現在,新しい基本計画審議会における討議がいろいろ行われておりますので,これらも参考にしながら,これからの取組の方向性について研究を進めてまいりたいと思っております。 次に和風迎賓館についてでございます。本市では,平安建都1200年記念事業の一つといたしまして,府,商工会議所,平安建都1200年記念協会とともに,その誘致を強く要望してきたところでございます。現在国の総理府におきまして,昨年度の調査結果も踏まえまして関西圏の地域特性を生かした迎賓等施設の在り方に関する調査研究として委員会が設置されまして,立地場所についてもいろいろな点から検討が行われているわけでございます。 本市といたしましても,新しい平成5年度の国の予算において本市内での建設が明確にされ,更に前進が図られるように強く働き掛けてまいりたいと考えております。 次に高齢社会対策の推進体制についてでございます。昭和61年度に高齢化社会対策室を設置いたしまして,その翌年には,同室を高齢化社会対策部に改組いたしました。また平成2年度には高齢者問題の企画を担当いたす部門を充実するために高齢企画課を設置いたしました。今日までこういう形で執行体制の充実に努めてきたところでございますが,その後も高齢者をめぐる状況は急速に変化しております。保健,医療,福祉だけではなしに,住宅,教育,あるいは就労問題など幅広い分野での連携を図った取組がますます必要になっております。こういうことから,現在は局長級の職員で構成しております福祉行政推進会議を中心に関係部局の連携を図っているところでございますけれども,今後とも高齢社会対策を積極的に推進していきますために,執行体制の整備につきましては,国の動向あるいは他都市の状況なども見ながら,本市としても十分検討してまいりたいと思っております。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 次に工場用地の問題でございますが,本市では工業の利便の増進を図るため,工業地域や工業専用地域などの工業系の用途地域を広く指定するとともに,特に西陣地区などにおきましては伝統産業の育成,振興を図るため,住居地域部分を含めまして特別工業地区の指定を行ってまいりました。近年,地価の高騰や工場等制限法の規制などによりまして,工場用地の確保や施設の拡充が困難な状況にございまして,また工場周辺の土地利用や工業の形態も変化しておりまして,時代のニーズに即した機能整備を図る必要があると考えております。このため都市型工業の機能整備と地域との共存を図るため,まちづくりと関連付けながら近代工業やあるいは伝統産業の構造転換,リストラクチャリングを支援する必要があると考えておりますが,今後御提案の趣旨を踏まえまして調査検討してまいりたいと考えております。なお工場等制限法の見直しにつきましても,国に対しまして重ねて要望してまいりたいと考えております。 次に先斗町蛸薬師から新門前までに架ける橋についてお答えいたします。この橋は,先に整備いたしました先斗町通や今年度からコミュニティ道路として整備を行います木屋町通と鴨川東岸線のせせらぎの道や鴨川の花の回廊と連絡する歩行者専用の橋として考えております。計画に当たりましては,御指摘のとおり周囲の景観に配慮し,鴨川のせせらぎを楽しみ,京都の山並みを眺望しながら散策でき,市民はもとより観光客にも親しまれる憩いの場所となるよう調査検討を進めております。今後市民,学識経験者及び関係機関の方々の御意見をお聴きしながら詳細を計画してまいりたいと考えております。 ○副議長(可児達志君) 山本経済局長。 ◎経済局長(山本喜一君) 工業都市としてのPRについてお答えいたします。1200年の歴史と伝統を持つ本市は,常に独創的な,また付加価値の高い製品を絶えず生産してまいりました物づくりのまちでございます。現在におきましても,市内総生産に占める製造業の割合は,政令指定都市の中で第3位を占め,また工業出荷額におきましても第6位でございます。京都はまさに工業都市であると認識いたしております。今後とも製造業の振興を推進いたしますとともに,企業誘致や人材確保の点から,工業都市としての京都市の認識を深めますように積極的に努力してまいる所存でございます。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 松村文化観光局長。 ◎文化観光局長(松村哲治君) 文化事業奨励金制度の御質問でございますが,文化,芸術の発展を図るためには,何よりも市民の自主的な文化,芸術活動が活発に展開され地域社会の中で芽生えていくことが大切であり,潜在している京都の文化力を引き出して新たな文化,芸術の創造が必要であると考えております。このため本市といたしましては,これまで市民の方々の文化,芸術への取組の条件整備を図るため地域文化会館の建設や鑑賞,参加,発表等の場を提供するとともに,芸術文化協会や各区文化協議会など文化団体に対する助成を行ってきたところであります。今後におきましては,市民の方々による活発な文化,芸術活動がより一層促進されるよう経済的な援助を含めた幅広い文化振興の方策を検討してまいりたいと考えております。 美術館の整備と民俗資料館建設についての御質問でございますが,これからの美術館は,多様化し高度化する市民の要望に的確に対応し,生涯学習の拠点として機能していくことが重要であると考えております。そのために京都ならではのこの貴重な所蔵品の常設展示と美術に関する総合的な情報の提供などの機能が不可欠であり,また特色ある多様な展示や教育普及活動の充実なども必要であると考えております。このため本年度,美術館整備構想の基礎資料となる現況調査を実施しており,この調査を基に整備構想の策定に努めてまいります。 次に民俗資料館についてでありますが,民俗資料は,考古資料,歴史資料とともに京都の歴史を知るうえで欠くことができないものであり,社会情勢や生活様式の変化により急速に失われつつある現状にあります。このため,こうした民俗資料を収集,展示する民俗資料館の必要性が高まってきているところであり,今後機能や規模,既存の考古資料館や歴史資料館などとの役割分担などを研究しながら,実現に向けて検討してまいりたいと考えております。以上です。 ○副議長(可児達志君) 中谷民生局長。 ◎民生局長(中谷佑一君) まず特別養護老人ホ―ムの整備につきましては,急速な人口の高齢化に伴い,介護を必要とするお年寄りが更に増えていくものと見込まれていることから,引き続き積極的な整備に努める必要があるものと認識し,公有地の無償貸与や他の社会福祉施設との合築整備,公設による整備等多様な手法を採り入れ,一層の推進を図っているところでございます。 更に今後新たな法人を設立するとともに,民間の努力にこたえるための施設建設経費に対する助成方法の改善などについて研究検討を重ね,施設の充実整備を強力に進めてまいりたいと考えております。 次に国民年金制度につきましては,昭和57年の法改正により国籍要件が撤廃され,在日外国人にも制度が適用されることになりました。しかしながら御指摘のとおり,同法では法改正時において20歳及び障害認定日を過ぎていた方につきましては障害基礎年金の受給対象外となり,無年金者となることになります。本来国民年金制度は,国民皆年金制度の下,国において一元的に運営されているものであり,本市といたしましては,無年金者の解消を目指す国民年金制度の趣旨に照らし,国が制度的に解決することが最良の方策であると考えております。このため今後とも指定都市とともに,また本市独自でも機会あるごとに国に対して強く要望してまいります。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 南澤衛生局長。 ◎衛生局長(南澤孝夫君) まず市民の食生活につきましては,近年豊かになってまいりましたけれども,一方,加工食品の普及や外食機会の増加などによります不適正な食生活から成人病も増加しております。このため本市におきましては,正しい食生活習慣の普及を図りますために,厚生省が策定いたしました健康づくりのための食生活指針に基づくパンフレットでございますとかリーフレットの作成,配布,それから公共媒体の活用によります啓発,栄養改善講習会や健康教室の開催などに取り組んでおります。 またこれまで健康づくりの中心に据えてまいりました栄養に加えまして,運動,休養を更に加え,健康増進の3要素を一体化した実践的な健康づくりを目指して積極的に健康づくりのための運動指導ができますように,職員に健康運動指導士の資格を取得させているところでございまして,今後とも御指摘を踏まえまして事業内容の一層の充実に努めてまいります。 健康の結果管理システムにつきましては,これはイギリスの人頭報酬制でありますとか,ドイツの定額支払制と結果的には同趣旨の制度であると考えられますけれども,この制度の導入に当たりましては,法律や保健医療システムの抜本的な見直しが必要でございますために,本市独自に取り組むことは困難な状況でございます。しかしながら人生80年時代と言われます長寿時代を迎えました今日,市民が活力ある生涯を送りますためには,御指摘のように健康増進や保健予防に重点を置きました健康づくりを推進することが従来にも増して重要となっております。このため医師,歯科医師や医療機関の協力を得まして健康増進対策や保健予防対策の充実に努めているところでございますけれども,今後一層医師,歯科医師や医療機関との連携の下に,市民の健康づくりが推進できますように努めてまいりたいと考えております。 エイズ検査につきましては,今回緊急の対策として感染者の発見に努め,流行の防止を図りますとともに,市民に対しましてエイズについての意識を高めることを目的といたしまして,予約によるエイズ無料検査を実施しております。この度の無料検査の実施状況を踏まえまして,来年度に向けて検査受付保健所の拡大及び無料検査の実施につきまして,厚生省の動向を見守りつつ具体的に検討を進めてまいります。 エイズに関するカウンセリングの確立についてでございますが,本市におきましては,現在各保健所,支所,保健医療課にエイズの相談窓口を設けまして市民からの相談に応じております。また実際に相談を受け付ける医師や保健婦に対しましては,エイズについての研修会を実施いたしますとともに,本年度から開催されました厚生省の主催するエイズ研修会に担当者を派遣いたしまして,専門的な知識を持った職員の育成に努め,相談受付体制の充実を図っております。更に厚生省のエイズ研修会に来年度から保健所の医師や保健婦を参加させまして,カウンセリングの行える職員の育成を行い,カウンセリング体制の整備を図ってまいりたいと考えております。 エイズの正しい知識の普及啓発につきましては,市民しんぶん,パンフレット,啓発用ビデオなどによって行っておりまして,市民しんぶんでは,本年9月から5回シリ―ズでエイズについての連載記事を掲載いたしております。10月からは新しく作成いたしました冊子を,保健所や区役所の窓口に置いて市民への啓発を行いますとともに,企業の従業員教育への利用や大学でのエイズ講習会等に活用願っております。 またエイズにつきまして,市民が身近な問題として関心を持ち,正しい知識を持って感染防止に努めていただきますために,今年5月の相談件数,検査件数の公表に続きまして,6月に患者,感染者数の公表に踏み切ったところでございます。 更に保健所におきまして,エイズ等に関する健康教育を開催いたしますとともに,各種団体が行いますエイズ研修会等への資料提供や講師派遣紹介などを行っております。引き続きあらゆる機会を通じまして,市民各層に対しエイズに対する正しい知識の普及啓発を進めてまいります。 エイズ対策の来年度予算措置についてでございますが,本市の本年度のエイズ対策は,普及啓発費や検査費を中心に総額500万円を計上しております。来年度は国を挙げてのエイズストップ作戦の初年度でございまして,本市といたしましても,正しい知識の普及啓発や検査体制の整備充実,相談体制の充実など,エイズ対策のより積極的な推進を目指しまして最大限の努力を重ねてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 竹澤都市計画局長。 ◎都市計画局長(竹澤忠義君) 相続税の問題についてでありますが,近年の地価高騰に伴う税負担の増大によりまして,町並み保存のための厳しい規制を受けている伝統的建造物群保存地区などにおいて,伝統的な建造物の保全,継承が困難な状況になってまいっております。このため本市といたしましては,伝統的な町並みなど風趣ある地域を積極的に保存していくという観点から,本市の実情を配慮した特段の措置が必要であると考えております。現状では税制上困難な問題でありますが,今後とも国に対して粘り強く要望を行ってまいりたいと考えております。 ○副議長(可児達志君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) エイズの指導についてでありますが,教育委員会では,エイズの予防は正しい知識が最大のワクチンと認識し,昭和63年にエイズ指導の手引を作成し,研修会を開催するなど教職員の指導力の向上に努めてまいりました。 御質問の中学生,高校生に対しては,昨年度全面改定いたしました性教育指導資料に基づき,性に関する指導の中で正しい男女交際の在り方などを考えさせるとともに,その指導の一環としてエイズに関する指導を行っております。具体的には保健学習や特別活動などにおいて,エイズに関する正しい知識,感染の危険の回避,感染者の人権尊重を基本として子供たちの発達段階に応じた取組を推進いたしております。今後ともこうした取組を通し心豊かでよりよい生活習慣を身に付ける指導の充実に努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(可児達志君) 永嶋久仁朗君。 〔永嶋久仁朗議員登壇(拍手)〕 ◆(永嶋久仁朗君) 午前中の質問に対しまして大変前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。テレビ放映時間の関係で中断しておりました教育問題の質疑と併せまして第二質問といたします。 まず教育問題について2点お伺いいたします。その1点は,休業土曜日に関連した福祉教育の充実についてであります。去る9月12日から学校週5日制が全国的一斉に実施されました。本市でも小,中学校の施設が開放され,PTAや地域の各種団体が中心となって様々な行事が行われてまいりました。伸び伸びとスポ―ツや文化活動をする子供たちの姿を見て大変有意義であると感じております。競争教育から,ゆとりある教育を進めようとしているのが学校週5日制の趣旨であろうかと存じます。 その意味では,休業土曜日の過ごし方で子供たちを拘束してはならないし,学習塾に通わしたり,また無理に様々な活動をさせるということでは本当の趣旨に逆行するものであります。休業土曜日の過ごし方について,大人が適切な指導をすることも必要ですが,家族や友達とのんびり過ごしたり,PTAや地域の各種団体が実施する行事への参加の中から,自らの時間を自らが考えるということが最も大切なことではないでしょうか。 一方,社会では子供をはじめ,すべての人たちが地域活動やボランティア活動に積極的に参加していくことが望まれております。地域や他人のために奉仕するこのボランティア活動を自らできる人間づくりこそ究極の教育だと私は信じております。幸いにも本市の小,中学校では,従来から地域の清掃活動やお年寄りとの交流,障害のある人たちに対するボランティア活動を通じ福祉教育の充実を図られてまいりました。これらの取組をより充実させ,またすべての子供たちがこうした経験を積み重ねていくためには,学校週5日制の実施は又とない機会であると考えます。 そこでお尋ねします。思いやる心や生命を大切にする心を培うため,今後福祉教育をどのように充実していかれるのか,また学校週5日制による休業土曜日をいかに活用していかれるのか,教育長からお答えください。 2点目は,年々増加する教育費の経済援助についてであります。家計に占める食費の割合をエンゲル係数と言いますが,これをもじって教育費の割合をエンジェル係数と世間では言われております。その数値は年々高くなり,現在20パ―セント,食費より高いのであります。ちなみに幼稚園から高校まで,すべて私立であれば844万円,私大で地方から上京いたしますと4年間の支出は1200万円掛かり,教育費の家計圧迫は誠に深刻であります。 このように教育費への高い経済負担の背景には,教育に対する関心が高まってきたこと,社会現象の一つである少子化の影響もあって1人の子供にお金に掛ける傾向があることが挙げられます。無償である義務教育費でさえ,塾通いなどにお金が掛かるのが実態です。高校,大学へと進むにつれて費用がかさみ,教育扶助資金などの経済的助成制度があるというものの,手薄くなっております。今や高校進学率は95パーセントを超えており,また多くの人たちが大学進学を目指しております。現在,日本育英会などの制度もありますが,所得制限があったり,また一部の成績優秀な人を対象とした奨学金制度では,今日の状況から見てとても十分であるとは言えません。こうした状況を一掃し,すべての人が経済的な事情に妨げられることなく教育が受けられ,自らの希望する所に進めるという条件づくりが不可欠ではないでしょうか。 我が党は,教育費軽減のため四つの融資制度と減税を提案し,現在政府に実現を迫っております。その一つは,学生本人が入学金,教育資金を借り,自力で返済できるように入学金,教育資金の融資制度の充実,二つ目は,入学金を対象とした日本育英会奨学金の創設,三つ目は,300万円まで利子非課税の教育財形貯蓄制度の創設,四つ目は,現行10万円から20万円を教育減税とした特定扶養控除額の増額などであります。これらが制度化されるまで学生のまち本市にあっては,京都独自の教育融資制度を設けるべきではないでしょうか。府や市がそれぞれ制度化するのではなく,京都府が実施主体として適切であれば,府に制度の実現を働き掛けられることを強く要望いたします。 今御丁寧なる御答弁を得ました中で,今世紀までを目標としております新京都市基本計画では既に2年を経過,実質残り8年しかございません。御答弁どおり新年度の早い時期に年次計画をやっていただき,歴史都市再生の京都の確かな道しるべを示していただきますよう心からお願いいたします。 さて都心部の定住策ですが,新婚世帯などに家賃補助を行う借上公共賃貸住宅の建設は,今のところただ一つの施策です。建設メリットをしっかりPRして必ず実現してもらいたいし,今後も拡大してもらいたい。また修繕費を補助し,市が借り上げて入居者に家賃補助を行うという京町家の活性化事業については,来年度必ず予算化されることを強く強く望んでおきます。 健康と栄養については,某テレビ局が女性を援護する立場でこんなアンケート調査をやっておりました。家庭での手づくりの料理を希望する男性が90パーセントあるのに対し,現実はでき上がり食品を食卓に並べられているのが70パーセント,男性の希望はなかなか伝わらないようであります。 しかし問題は,栄養的にはでき上がり食品の方がよく,手づくり料理の方が劣っているのです。その理由として,献立のレパートリーが少ないこと,また栄養知識の薄いことを挙げておられました。御答弁にありました地域での健康展については期待するものですが,必ず栄養を中心とした啓発をされることを望みます。 各種予防施策の充実についても,健康都市構想にふさわしいようになることを期待するもので,予防費の予算は必ず増額してください。 エイズは人類的な課題である。対策について,もはや躊躇することは許されません。お金を惜しんだり,啓発が緩いようでは手後れになりかねないのであります。厚生省の取り組む並み並みならぬ意欲と,その意図をよく酌み取っていただき,市長以下衛生,市民,教育の関係各局は,本腰を入れて取り組んでもらいたいのであります。 さて最後に気になる新京都市基本計画の財源ですが,御答弁では,国への要望に固執されているようであります。国への要望は確かに大事でございます。でもそれだけでは何でも国に押し付けるどこかの政党と似ておりませんか。余りにも自主性がないように思えてなりません。 昨年の平成3年から過去10年間と,それを起点として更に過去10年間を比較しますと,昭和47年から昭和57年の間は,市税301パーセントの伸び,投資的経費も228パーセントとなっております。これに対し昭和57年から平成3年の間の市税の伸びはわずか67パーセント,投資的経費はその半分にも満たない27パーセントの伸びでございます。先の10年間の伸び率と比べて近い10年間,いわゆる昭和57年から平成3年までの間の伸び率は,市税では5分の1,投資的経費では8分の1となっております。いずれ今の景気が回復するとしましても,あの昭和47年から昭和57年の間の市税や投資的経費の伸びは望むべくもありません。もし仮に後者の10年の伸びに近ければ,幾ら行政改革を推し進められようとも,おのずから限界があり,まさに新京都市基本計画は絵に描いた餅となりかねないのでございます。 世界の京都,日本人の心のふるさと京都,せめて今曲がり角に来ているこの景観を何とかして守れないだろうか。自主財源がどうしても必要なのであります。例えば自治省が幾ら難色を示そうとも,京都景観保全の宝くじ発行の努力,また京都の良さを守る景観基金を,本市のみならず国や全国民に呼び掛けて募集するなど創意工夫と情熱が必要であります。 今や変化の時代であり,ソフトパワーの時代であります。知恵を出せ,汗を出せ,どちらもなければ去れとは,かつて某企業の社訓でございました。政治不信の折,この言葉こそ今行政も議会もともにかみしめなければならないものではないでしょうか。 冬は必ず春となるという名言がございます。春は希望であり,希望こそどんな困難をも耐え忍ぶ大きな支えとなるのであります。新しい京都再生へ向けた146万市民の雄々しい航海,この道案内の航海図こそほかならぬ新京都市基本計画なのであり,その完成を期待して私の質問を終わります。この後開かれる決算委員会で公明党市会議員団一同は続いて審議を展開してまいります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(可児達志君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) 福祉教育についてでありますが,自己中心主義の風潮や人間関係の希薄化,道徳性の欠如が指摘される今日,人の立場や気持ちを考え,思いやる心や命を大切にする心を育てる福祉教育は,道徳教育とともに極めて重要な教育の領域であります。 本市では,感性豊かな子供の育成を目指す心を耕す教育活動を積極的に推進し,お年寄りや障害のある人々との交流などの福祉体験活動に取り組んでまいっております。更に地域と連携し,子供たちがボンティア活動に取り組む福祉協力校を本年度は小,中,高等学校合わせまして44校にまで増やし,その充実に努めてまいっております。 次に学校5日制と福祉教育の充実についてでございますが,御承知のとおり本市におきましては,学校週5日制の休業土曜日をいきいきサタデ―と銘打ち,親子の触れ合い,様々な年齢の友達やお年寄り,障害のある人々をはじめとする地域の人々との交流の場とすべく,すべての小,中学校で学校施設を開放いたしております。各地域では,PTAをはじめ自治連等各種団体がグラウンドや体育館,図書館などを利用して多彩な行事を催され,清掃活動や福祉体験活動も行われるなど休業土曜日を活用した取組が進められてまいっております。教育委員会といたしましては,今後とも休業土曜日に子供たちが豊かな体験を積み重ねることができるよう,学校,家庭,地域の密接な連携の下,取組を進めてまいります。以上でございます。-------------------------------------- ○副議長(可児達志君) 進行いたします。 次に市政一般について,鈴木マサホ君に発言を許します。鈴木君。 〔鈴木マサホ議員登壇(拍手)〕 ◆(鈴木マサホ君) 日本社会党市会議員団を代表いたしまして質問いたします。 本日の質問のテ―マは,私自身も審議会の委員の一人ですが,ただ今策定中の京都市新基本計画についてであります。時間の関係で早速本論に入ります。 本年6月25日に最初の審議会が開催されました。情報公開制度の確立もあり,審議会の市民の傍聴を認めるよう公開を求めましたが,残念ながら今に至るまで公開されませんでした。しかしながら先日,11月10日の審議会の席で,河野会長より,次回から市民に傍聴,公開を認める方向で検討したいと提案があり,私は英断であると喜んでいます。 そこで冒頭に審議会の事務局である企画調整局長に,この審議会の市民への公開についてどのような段取りでされ,広報されるのかお聞きしたいと思います。 さて新基本計画は,私たちのまち京都が人を主役に21世紀という新しい時代に向かって,生き生きとした活力あるまちづくりを進めるための指針になるものです。 〔可児副議長退席,川中議長着席〕 ◆(鈴木マサホ君) (続)審議会は京大名誉教授の河野健二先生を会長に10人の市会議員と40人の学識経験者,作家,詩人,女性,経済人,地域や各種団体の代表者,それに外国人市民,合計50人が委員であり,テ―マ別の審議会も含めて8回にわたって活発な意見交換,提言がなされてきました。私の提言が新たに素案に盛り込まれた点もあり満足していますが,私もできるだけ夢のあるビジョンを作りたいと前向きな発言をしてきたつもりです。 さて11月10日の審議会において,地域別整備方向と計画の推進の資料が示され,既に10月に発表された総論と部門別計画と併せて大枠の計画素案が浮かび上がってきました。また市民的な盛り上がりはいま一つという印象もありますが,8月上旬には市民の暮らし,産業と文化,都市基盤づくりをテーマにした明日の京都を考える市民シンポジウムが開催され,私はいずれにも参加しました。 更に財政総務委員会の他都市調査では,同僚の委員の皆さんと福岡市で基本計画策定の計画について勉強し,11月に入ってから行われた5か所での地域別のシンポジウムのうち北部,都心部,南部でのシンポジウムに参加したところです。 それぞれ各地域の自治連の会長さんなど市民の代表がパネラーになり,まじめな提言をされ,また会場から発言された市民の意見を聴くと,なるほどこの地域にはこういう問題があるのかと教えられたことも多くありました。多様な意見をまとめられる調整委員や事務局の企画調整局計画課の皆さんや司会をされた先生方も御苦労であったと思いますが,何よりも残念なのは,限られた時間の中で発言者の持ち時間がわずか5分ではどうしようもない。この本会議と同様に時間が来れば無情にもブザーが鳴るというのでは,自由闊達な議論は到底できないんです。もっと白熱した議論をする時間を保障してもよかったのではないかと思っているところであります。 そこでお聞きしたいのは,それぞれの市民シンポジウムにおいて審議会の委員は除きますが,パネラーを含めて合計何人の市民が,およそ何項目ぐらいの提言,意見を述べられたかであります。数字が出ていると思いますので,事務局である企画調整局長お答えください。 ところで私は,新基本計画の策定に向けて市民の意見をより多く聴きその声を反映させるのが審議委員の責務であると考えています。そこで11月7日の土曜日に私が主催者となって友人,知人たちに呼び掛けて,朝から夜までマラソンスピーチ。21世紀の京都,市民100人の提案,京都市新基本計画をめぐって,と題し朝の10時から夜の8時まで延々10時間に及ぶ集会を開催いたしました。 10時間でも語り尽くせなかったのですが,京大名誉教授飯沼二郎先生をはじめ合計26人の市民から様々な課題について提言をいただき,また議論もしました。いささか疲れましたけれども大変勉強になりました。ここでその集まりでの主な提言の数々を紹介したいと思います。 まず人権問題では,先日11月4日に判決のあった君が代訴訟の意味や,今春教育委員会が策定した外国人教育基本方針を評価しつつ,民族差別をなくすための更なる努力が訴えられました。 朝鮮総連の青年からは,強制連行,従軍慰安婦などの問題も含めて戦後処理,国家補償の問題に言及した後,外国人登録,指紋押捺の問題,障害者年金の支給の問題や民族学校の在り方,またいまだ市民にある民族差別意識の解消など非常に重い指摘もありました。 環境問題では,ごみ減量化等検討委員であった主婦連の伊藤さかえさんがトレーや空き缶の回収,リサイクルに長年取り組んできた経験から,集めるだけ集めてもその先が見えないということを指摘され,啓発のために市内の百貨店などでリサイクル展をやっているということを披露されました。 フィールドガイド大文字山を出版された法然院森の教室の久山喜久雄さんから,大文字山を代表とする京都を囲む三山である里山と人との共生について興味深い話があり,緑の文化都市構想を考えてみてはと提言されました。 八丁平を守る会の人からは,11月4日に京都市が発表した林道の迂回案は大英断であり,細々と続けてきた運動の意味があったと喜びの発言が,また地球環境問題の観点から,熱帯雨林の保護のためにコンクリートパネルの型枠の使用削減や国内産木材を使用して学校のいすや机を積極的に生産することを勧めるような発言がありました。 景観と都市問題では,雑誌京都トウモローの編集に携わっていた牧野文夫さんから,パリの新都市デファンス地区を例に南部での発展の可能性,電柱の埋設化,岩倉一条山の濫開発の教訓が提言されました。 建築家で京都大学人間環境学研究家の伊従勉さんからは,建築基準法の矛盾や京都駅や京都ホテルの改築をめぐっては,都市計画的な方針がなかった点に問題があると指摘があり,一つ一つの家や建築物,そして町内,更に地域,そして広げて京都全域で四つの段階でそれぞれ景観はどうあるべきか検討すべきであり,具体的にどこから見える景観をどのように保存するかを考えるために,例えば京都百景をつくったらどうかという提案もありました。 更にカナダのモントリオ―ルのまちは,淡いオレンジ色で建物が統一されているが,それに比べて京都のまちはどうかという嘆きの発言や,いわゆる京都の町家に住んでいる青年からは,町家の不便さと保存するには財政的な援助が必要だという訴えもありました。 文化の問題では,出版に関してベストセラーの発信が東京になっている現在,印刷技術の進んだ京都の技術や大学が多い利点を生かして,地域に根付いた個性を持った出版と編集者の養成の支援とともに,図書館行政の充実を求める意見が出されました。 また埋蔵文化財の発掘調査が再開発の先兵になっていることと,行政発掘で出た土器類9万個が左京区の百井のプレハブの倉庫に保管されている問題などが指摘されました。 福祉の問題では,視覚障害者にとってまだまだ住みよいまちではないこと,高齢者同士の交流と在宅で老人を看取れるシステムづくりの重要性と,またその意見に反して医療経済から見るとコストが掛かり,市民の負担が増えるのではないかという危惧する意見もありましたが,保健と医療と福祉のネットワークづくりの必要性も提言がありました。 農業の問題では,複合経営と産地直送の支援,都市農業と生産緑地法の問題点の指摘とともに,後継者の育成問題,自然のダムである水田を切り捨ててきた農政に矛盾があることも言われました。 教育に関することでは,環境を守り障害者とともに暮らせるまちにするため,児童が空き缶を拾ったり車いすに乗ってみるような体験教育が必要なことや,子供たちが孤立している時代に地域や家庭で文化を伝えていく大切さが訴えられました。 そのほか原子力発電の事故対策,防災対策の確立と放射能の恐ろしさなどの情報の提供の必要性,公共交通である市バスの在り方,水を循環するものとしてとらえる大切さ,仏具の製作に携わる職人さんからは,職人にとって今が非常に息苦しい時代になったこと。また広沢の池など観光地でのごみの散乱対策の強化,サイクリングロードのトイレの設置や市民が憩える場所としても新しい市役所の建設の必要性なども出されました。 以上が10時間に及ぶマラソンスピーチでの主な提言と議論の要旨であります。今日は,ここで提言された一つ一つについて論議するつもりはありません。ただ言えることは,市民一人一人にそれぞれの人生経験と,生活や仕事の中で京都はこんなまちであって欲しいとそれぞれの夢があるということです。 さてそこで田邊市長にお尋ねいたします。もし私が主催したような会で,21世紀の京都への提案をされるとすれば,市民の一人としてどのようなことを提案されるのでしょうか。市長という立場では,選挙公約と世界文化自由都市宣言,まちづくり審議会の答申,健康都市構想,そして新基本計画に従ってということになるでしょうが,私がお聞きしたいのはそうではなくて,1人の市民,人間田邊朋之としての21世紀の京都への提言であります。個人的な自由な発想でお聞かせ願えないでしょうか。 ところでこの審議会の委員として思うことはいろいろあります。一つは,国家は崩壊することがあっても都市は決して滅びない。地震などの天災や戦争による爆撃で壊滅的な状況が起こり得るわけですが,余程のことがない限り人々が生活する都市は生き続けるということです。市民が生活し都市が存在する。そして時代とともに都市は,時にはダイナミックに変貌を遂げる生き物だし,市民の意識も都市の構造も変わっていくものだと思います。だからこそ都市のありようを先取りする,いわゆる先見性が求められる,つまり都市ビジョンを作ることが大切なことだと考えています。 そこでハード面での都市基盤づくりのプランニングの先頭に立つ佐藤助役に都市計画とは何であるのか,また都市整備局,建設局,住宅局は,その計画を実施するに当たり,どのような問題意識でもって事業の推進に当たるのか御見解を示していただきたい。 時代とともに都市が変わっていく中で,21世紀に向けて重要な課題は多くありますが,本日は特に二つの課題について指摘しておきます。 一つは,ヒューマンライト,人権の問題です。新基本計画審議会でも多く語られ,素案においても第1章で人権の尊重を挙げています。部落差別をはじめ女性,障害のある市民,外国人への差別をなくし人権意識を確立することであります。とりわけ外国人市民とともに生きる京都を作ろうということを,私は今まで度々議会でも,また審議会でも発言してきました。 今日は時間の関係で多くを語りませんが,90年6月の一般質問でも取り上げた平安建都1200年事業の一つである世界人権問題研究センターについては答弁いただきたいと思います。 一向に進展の見られなかった設立の話が,先日11月9日付の日本経済新聞の夕刊に,京の都に人権研究所,アジア初,94年初め始動と記事が載っていました。それによると,平安建都1200年協会による設立計画の概要が固まり,年内には最終決定とありますが,どのような構想があるのか,その経過と見通し,更に京都市の決意を薦田助役からお願いいたします。 また先日11月14日に本願寺会館で教育委員会などが主催した民族の文化に触れる集いがありました。裏方で頑張る教育委員会のスタッフや外国人教育研究会の教員の皆さんの努力には敬服するものですが,韓国,朝鮮の子供たちのすばらしい踊りや音楽などの文化に触れて感動しました。このような試みを始めることで,在日韓国,朝鮮人とともに暮らせる社会を作っていくことも大きな課題であります。 小学校や中学校の外国人教育研究会の教員などの努力で,学校現場において取組が進められていますが,外国人教育基本方針策定後の取組が具体的にどうなっているのか,教育長からお答え願います。 なお来年8月,京都において民族共生の教育を目指して第14回目の全朝教,全国在日朝鮮人教育研究協議会の全国大会が開催されることになりました。教育委員会だけではなく,京都市としてこの集会に協力されることを要望しておきます。 次に21世紀に向けてのキーワードである環境について質問します。6月のブラジルでのいわゆる地球サミットの開催を契機に環境問題はブームになっており,11月に発表された京都市環境モニター報告によっても市民の環境問題への関心は高まっていることを示しています。その時代の変化を的確にとらえて,新基本計画の素案でも環境に優しいまちを目指すことを明確にしています。衛生局長は,この地球環境問題への自治体や市民の役割をどのように考えておられるのかお答えください。 さて市民が身近な環境問題として考え始めるのは,リサイクルやごみ問題でしょう。この11月11日は,プラスマイナス,乾電池の日ということで廃乾電池を考える市民の行動という市民グループと清掃局ごみ減量推進課とメーカーの三洋電機の環境推進室の方との懇談会が持たれたり,また10月18日には市役所前の広場で,市民に大変好評で盛況だった京都市主催の市民参加のフリーマーケットが開催されました。 またこの9月からは左京区でも空き缶の分別収集も始まり,これで全市で空き缶の分別収集が行われることになりました。本年3月のごみ減量化等検討委員会の提言を受けて前向きな取組が開始されたと考えています。 ところで10年前の空き缶条例の制定の際は,多くの空き缶論争がありました。結局デポジット制度は採り入れられませんでしたが,私の記憶するところでは,その論争の趣旨は散乱空き缶問題,つまり環境美化対策でありますが,その根底には使い捨て時代を見直す提案も含まれていたように思います。 あれから10年,メーカーの宣伝をするわけではありませんけれども,今私ここに持っているビール缶には三角のマークがあり,アルミと明記してあります。そして空き缶はリサイクルへ,空き缶は捨てないようにとここに書いています。これはウーロン茶ですけれども,ここにはスチールのマークがある。これは鉄製ですけれども,空き缶はリサイクルへと書いています。そしてまたこの飲み口のとこですけれども,かつては全部プルトップだったのが今ステイオンタブと言いますけれども,全部変わってきました。つまりリサイクルする時代に変わってきたのです。 私は先日,京都市の再資源化施設である精神薄弱者通所授産施設横大路学園を見学に行ってきました。驚きました。一時期よりも減少したらしいのですが,ストックヤードに積み上げられている物すごい量の空き缶の山にまず驚きました。暑い夏の付けと左京区の分別収集が始まったことで搬入量が増大し,来年の春までその処理に掛かりそうだと園長さんは説明されましたが,空き缶の山に押しつぶされそうです。現在新しいストックヤードの工事をやっておりましたが,別の敷地にも積まれていては処理ができるのだろうかと危惧したところです。 施設の中を見学させてもらいました。ベルトコンベアの上を流れる空き缶やプレス機の音などで話し声も聞こえない状態です。物すごい音でした。耳栓をしても音が消えません。ベルトコンベアを流れる様々な物,例えばビニール袋や得体の知れないごみを取り除く園生の皆さんと指導員の皆さんによる作業は決して楽なものではありません。中には割れたスタミナドリンクの瓶や危険な注射針も混じっているようです。一体市民のモラルはどうなっているんだと怒りたくもなりますが,雨の日はラインを流れる空き缶がぬれているので,跳ね返りの水でずぶぬれになり,もっと大変だそうです。日々立ち詰めで騒音の中で選別する作業は大変なことです。空き缶の分別収集とリサイクルの困難さ,そしてその矛盾が横大路学園にあるように思ったところです。そのことを市民は知る必要があると思います。 ところで清掃局の資料によると,京都市内の空き缶の発生量は,推計ですが,空き缶条例制定のころは1億3500万缶だったのが,昨年には何と4億2000万缶になっています。驚くべき数字だと思います。また分別収集が始まった昭和62年の収集量は597トンですが,もちろんそのときは分別収集を実施した行政区は少なく,横大路学園でもゆったりと稼働していたそうです。増加する空き缶処理のために30人の園生を本年より50人に増やし体制を整えられてきたところですが,昨年度には一挙に3400トンにまで増えています。当初年間2500トンの処理を目標にしていた横大路学園の処理能力の限界に来ているのではないかと思います。 そこで清掃局長にお尋ねします。まずごみ減量化検討委員会の出された答申に基づき,減量化へどのように具体的に取り組まれるのか。21世紀,西暦2000年に向けて減量化の目標値を設定されているのか。更に再生利用促進物である瓶,乾電池,古紙などの分別,リサイクルへの取組を今後どのように具体的にされていくのか。そして横大路学園での処理は限界に達しており,このままでは行き詰まってしまうと思います。新たに瓶なども含めた再資源化施設を建設することが必要ではないかと考えますが,いかがお考えですか御答弁ください。 また横大路学園の運営には,清掃局と民生局の緻密な連携が求められます。あの騒音の中で作業する園生や職員の皆さんの今後の健康のためにも防音設備をするなり,施設と設備,更に労働条件の改善が必要かと考えますがいかがですか,民生局長お答えください。 環境問題でもう1点質問いたします。京都北山の貴重な高層湿原地,八丁平の保全の問題です。かつて少年時代,私は登山家になるのが夢で,よく北山を歩きました。大見から尾越を抜けて八丁平に入り峰床山にも度々登りました。この八丁平が学術上貴重なことは,四手井先生らの調査団による報告でも指摘されたところでありました。また長年にわたり八丁平を守る会の人たちがその保全を訴えられてきたところです。そしてようやくこの11月4日の市長記者会見で,八丁平を突き抜ける形で計画されていた林道大黒谷線の計画路線の変更が発表されました。また11月14日の新聞によれば,オグロ坂近くの民有地だった所を競売にて約1万平方メ―トルを先行買収したと報道されています。この林道の計画の変更と買収は,まさに時代の流れであり,担当局の経済局すなわち田邊市政の英断でもあります。 八丁平を守る会の人々をはじめ北山を愛する山岳愛好家や自然環境保護団体に大きく評価され,また地元である久多の人々にとっても,迂回する道が来年度に完成し,長年の夢がより早く実現するわけですから喜ばれているものと考えています。 そこで市長には,この決断をされた思いをお聞きし,経済局長には,この間の経過と更に今後ふるさと森都市構想,山村都市交流の森の絡みの中で,八丁平の保全をどのように進められるのかお聞きしたいと思います。以上,新基本計画の策定に関して具体的な課題について二,三指摘させていただきました。 21世紀の挑戦に向けて新基本計画を実現するには,市民参加,市民合意を得る必要があり,更に事業の推進には財政的な問題が大きく立ちはだかっているわけで困難なことに違いありません。計画の推進の主体になるのは市民であり,京都市行政であります。私は,地方自治政府を,つまり京都共和国を創造する心意気で臨むべきだと考えていますが,市長は,新基本計画の実践,実行に向けて,いかなる決意をされているのかお聞かせください。 2月の本会議でも申しましたので今日は復唱しませんが,健康都市構想で言われた,いきいききょうととフレ―ズの最初の言葉を語呂合わせした8項目の視点,理念で行政が21世紀に向けて挑戦するのだという気迫を持ち実践することが大切だと思います。私も市会議員として,いきいき京都づくりに頑張りたいと思います。 さて最後に,先日11月4日に,私も原告の1人でしたが京都地裁であったいわゆる君が代訴訟の判決について述べておきます。 この住民訴訟は,1986年3月に君が代を卒業式,入学式で流すために,君が代を録音したテ―プを教育委員会が各学校に配付したことに端を発します。君が代を強制するためのテ―プの購入,配付は憲法違反で公金の不法支出だと監査請求し,それ以後住民訴訟に持ち込まれ,6年に及び君が代の強制は思想,良心の自由を侵すものだと憲法論争が行われてきたものです。 裁判のクライマックスは,あのリクル―ト事件で逮捕された高石邦夫元文部次官が証言したことでありました。判決は,購入したテ―プに教材として何を録音するかという問題は財務会計上の問題ではなく,公金支出が違法なものとは言えないとして原告の訴えを却下,棄却し,また君が代強制の問題については,司法判断に適合しないという憲法判断を回避した判決でした。 しかしながら,その理由の中で,君が代について裁判所は次のような見解を示しています。教育長におきましては,篤と聞いていただきたいと思います。 国歌とか,それと同視される歌は,国民各人の心の深層に内在するシンボルの一つである。国歌ないしこれに準ずるものとして君が代の内容が相当か否かは,内心に潜在するシンボルの適否の問題と言える。それはもともと国民一人一人の感性と良心による慣習の帰趨にゆだねられるべき性質のものなのである。国歌とされるものは,時代と国家の推移につれて,好むと好ざるにかかわらず様々な歴史を刻んでいく。それに伴い,その意味や受け止め方も変遷し,あるいは陳腐化して時代に合わないと言われたり,あるいはなおこれを伝統的なものとして維持すべきであるという対立した意見が生じてくる。 国歌とされるものの歌詞や曲が二義を挟まない程度に明らかに憲法を誹謗し,破壊するものであることが明白でない限り,その適否は本来,裁判所の司法判断に適合しないものである。もっともこのことは,原告ら及び原告参加人らが挙げるバーネット事件のような国歌への敬礼ないし国歌の斉唱を児童生徒などに罰則や退学処分をもって強制するという本件と異なる事案の適否とは別な問題であると,裁判所は見解を示し,またこんな記述も見られます。 原告参加人のように君が代を苦い戦争の記憶と重ね合わせて,これに強い嫌悪の情を持つ者がいることを否定することはできないし,歌詞の解釈や曲の受け止め方も様々であると,君が代をめぐる現状を裁判所は認定しています。 このように今回の判決が君が代を国歌とも規定せず,様々な解釈,意見の対立があることを認め,君が代が個人の内心の問題であるとした点は大きな意味を社会的に持つものだと考えます。しかしながらこの判決では,君が代強制の事実について触れられておらず,教育現場での君が代強制は,精神的自由の侵害であるという裁判所の判断を求めるべきだと多くの原告参加人は考え控訴されることになりました。今後も更に君が代訴訟が続くことになります。 今日はこの問題について教育委員会の答弁を求めませんが,今回の判決で裁判所は,歌いたい人は歌えばよし,歌いたくない人は歌わない自由もあるという見解を明確に示したものである私は考えています。 最後に,この判決を踏まえ今後決して君が代を学校で強制してはいけないということを教育委員会に強く要望して,本日の質問を終わります。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 鈴木議員の質問に対してお答えいたします。 まず1番初めに,1人の市民,人間田邊朋之としての21世紀への提言を聞きたいという申出でございます。私に与えられた時間は大体75秒ぐらいということになっており,5分間あったらいいなと思っておるんでございますが,いつも申し上げておるわけでございますけれども,私が京都へ参りましたのが昭和17年でございまして,丁度50年経過いたしました。当時の京都市の人口が100万人でございますから,1倍半になっておるわけでございます。戦後の一つの大きな社会現象の変化の中に都市化の進展ということが言われておりますけれども,確かに基本的には人口が少なかった昔の方が京都はのんびりして非常に暮らしやすかった,こういう回顧の思いが一つあります。しかし都市というのはですね,やはり多くの人が集まって新しい文化を興したり,新しい産業を興したり,そういう中で市民の暮らす舞台をどういうふうに磨きを掛けていくかが,やはり個人田邊じゃなくて市長の田邊に今与えられた責任であると思っておるわけでございますが,基本的には,今申し上げました都市化現象をはじめといたしまして,私たちの生活が非常に変わってきたという思いが一番強うございます。 特に物が非常に豊富になった,あるいは近代科学が発達いたしまして,私たちがそういう近代的な機器を使って生活できるようになってきた。また多くの人たちが集まることがありますけれども,この社会情勢の変化の中で核家族化というふうな生活様式の基本的な変化によって価値観の多様化が起こってきた。そういう状況の中で,市長として京都の21世紀に向けてのまちづくりをどうするかと,やっぱり市長らしい話をせざるを得ぬところへ来るわけでございますけれども,今新京都市基本構想を進めております。その建前といたしましては,時間もたってきたし,多くの事業にも手を付けて進捗してきた,こういうことを申しておりますけれども,今までの状態で私どもがずっと推移するとすれば,京都の持っております特性を小さく食いつぶしてしまう,ばらばらにしてしまう,そういうおそれを私は持っております。 そういう中で,今この時期に健康都市構想,健康構想じゃなくて健康都市構想,健康をまちづくりの指標にしていく,基本に据えていく政策を市民の皆さん方と一緒に今日まで採ってきた手法は非常にありがたいと思っております。もう一つ加えまして,まちづくり審議会で答申いただきました土地利用と景観問題を両方据えてやっておるわけでございますけれども,やはり伝統を守り創生していくという京都の基本的命題は,今後もますます重要になってくる。かつてギリシアには哲学者あり,詩人あり,これほどすばらしく栄えた国はなかったと思いますけれども,奢侈に流れて滅んでしまいました。私たちも今のままいくと京都を壊してしまうおそれがあると思いますが,京都の新基本計画というのは,そういうことにならないよう市民と一緒になって新しいまちづくりを今後永遠に創造していこうという願いを込められた道順を進んでおると思っております。 本論に入ります。今大黒谷林道の問題について非常に御丁重な評価をいただきましてありがとうございます。大黒谷林道と申しますのは,本来久多地域,京都に近い地域の間を林道で結んで久多地域の方々に京都へのアクセスを持っていただこうという趣旨で始まったものでございまして,八丁平の高地の湿原があって非常に大きな意味を持っておるということで,皆さん方からいろんな御提言を個人的にもいただいておったんですが,たまたまこの山村都市交流の森の事業を進めるに当たりまして,管理道の線を引いてみますと,この大黒谷林道は八丁平の西側に道を付けていくことが合理的で,八丁平についても元のままの状態を保持するのにいい条件にもなる,道も早く付くということでやったわけでございますので,今後ともよろしく御指導,御理解を得たいと思います。 それから新基本計画の推進についてございますが,先ほどの75秒の間にその思いも述べたつもりでおりますけれども,これも委員の先生方,あるいは地域でのシンポジウムに参加した方から非常に御熱心な意見を聴いたと,こういう市民の皆さん方と一体になってこの新基本計画を進めていくという責任があるわけでございまして,今後私の指導性を発揮しながら一生懸命やっていきたいと思っております。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) 世界人権問題研究センタ―につきましては,平安建都1200年の記念事業に位置付けまして,いろいろな分野にわたります人権問題の解決に向けて,国際的な視野に立ち総合的に調査研究する機関として設置しようとするものでございます。平成2年3月には記念協会におきまして,このセンタ―の設立に当たっての基本的な考えが示されました。この考え方を基本に,より専門的な事項について意見を求めますために今年1月に田畑茂二郎京都大学名誉教授を会長として設立の研究会が設置され,年内には答申が出されると聞いております。 基本的人権の尊重は,健康都市を目指す京都市の基本的な課題でございます。今後とも京都府,商工会議所,記念協会とともにセンターの早期設立に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 都市計画をはじめハード面のまちづくり全体についての御質問がございましたが,長い目で見ますと,都市は時代とともに成長し変貌を遂げていくものでございまして,先見的な目で将来の都市ビジョンを見据え,市民の福祉の増進や都市活動にとって望ましい方向に都市の成長を導くために必要な土地利用や基盤整備を定める計画,すなわち都市計画が必要であります。本市におきましては,現在の京都市基本構想でゆとりと潤いのある豊かな市民生活の創造に向けまして,21世紀に向かう新しいまちづくりの基本姿勢を示す基調をテーマといたしまして,伝統を生かし創造を続ける都市京都を掲げておりまして,それを推進する総合計画として現在新しい基本計画の策定作業を進めております。この新しい基本計画の中では,今市長がその思いをるる述べましたとおり,人を主役とする新しいまちづくりのあり方を示した健康都市構想の理念を中心に据えまして,視点といたしまして各施策の展開の中で明確にしてまいりたいと考えております。 具体的には,都市施設の整備や面的整備におきましては,京都の歴史と伝統を踏まえ人を主役とした誰もが生き生きとして安心して暮らせるまちづくりを念頭に置きまして,新しい考え方やあるいは技術,手法等を積極的に導入いたしますとともに,京都の都市像に合った多様な施策を展開いたしまして,積極的な事業推進に努めてまいりたいと考えております。 また住宅事業といたしましては,安心して住み続けられる良好な都市居住の確保,とりわけ都心部での定住の促進を基本的な課題として施策の充実を図ってまいりたいと考えております。 ○議長(川中増次郎君) 内田企画調整局長。 ◎企画調整局長(内田俊一君) 基本計画の策定に当たりましての市民公開,市民参加について2点御質問いただいております。今回の計画の策定に当たりましては,市民シンポジウムの開催ですとか,あるいは21世紀を考える若者の会議,それから市民アンケートといったような様々な工夫を凝らしてまいりましたけれども,御指摘ございましたように前回の審議会で,次回以降,一般市民にも公開する方針が決まりました。この方向につきまして,現在審議会の先生方と具体的に詰めておりまして,日程なり方法が決まりましたら,市民しんぶんとか京都市が提供しておりますラジオ番組等々いろんな方法で市民に広く周知していきたいと考えております。 それから2点目にシンポジウムへの参加の状況を数字で示せということでございます。8月上旬に開きました3回のテ―マ別のシンポジウムの参加者が延べ1100名,それから11月に開きました5回の地域別のシンポジウムの参加者が延べ1500名,計2600名の御参加をいただきました。まさに厳しい時間の制約の中で,この中から文書によります意見を含めましてテーマ別が36名,それから地域別が92名,計128名の方から370項目にわたる様々な御指摘をいただいたところでございます。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 山本経済局長。 ◎経済局長(山本喜一君) 林道大黒谷線につきましては,過疎化の進む北部山間地域の林業振興と活性化を図るため,昭和44年から開設してまいりました。この計画路線上に学術上貴重な八丁平湿原があることから,林道開設と湿原の保護,保全との調和を図ることを目的といたしまして,昭和54年度から5年間にわたり八丁平環境調査を実施し,この調査報告に基づき湿原の保護,保全対策を実施するとともに,大原側,久多側双方から開設工事を進め,本年度で国の認証区間を終了いたします。また保全策の一つとして実施してまいりました集水区域内の民有林の買収は,今回の1筆をもって完了いたしました。 一方,ふるさと森都市構想に基づき整備を進めております山村都市交流の森は,健康都市構想の一翼を担うものでございまして,今後も八丁平湿原及び周辺森林の保全に万全を期してまいります。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 中谷民生局長。 ◎民生局長(中谷佑一君) 横大路学園の空き缶選別作業につきましては,空き缶処理量の増加に伴い施設や設備の改善を図り,また定員の増加などにより作業条件の整備に努めてまいりました。御指摘の防音対策についてでございますが,良好な作業環境を維持するためには早急に取組を進める必要があると認識しており,設備等の改善策について,現在横大路学園と具体的な協議を進めているところでございます。今後とも清掃局と緊密に連携を図りながら,良好な作業環境の確保に努めてまいります。 ○議長(川中増次郎君) 南澤衛生局長。 ◎衛生局長(南澤孝夫君) 地球環境問題への対応につきましては,本年2月に京都市における地球環境問題への取組の方向を策定したところでございますけれども,市民の健康を守りますうえからも重要な課題として新京都市基本計画の素案にも位置付けております。 御承知のとおり地球環境問題は,人類の活動規模の増大によります影響が国内にとどまらず地球規模にまで拡大したためでございまして,その解決に当たりましては,使い捨て社会と言われます現在のライフスタイルを環境に優しいものに変えていくことが何よりも大切であると考えております。そのためには自治体の取組はもちろん市民の皆様の御理解と御協力が一層重要なものとなっております。本市におきましては,再生紙の使用や熱帯木材の使用量削減等に率先して取り組んでいるところでございますが,今後とも積極的な取組を進めますとともに,普及啓発に努力してまいります。 ○議長(川中増次郎君) 森脇清掃局長。 ◎清掃局長(森脇史郎君) ごみ減量化の目標値並びに分別リサイクルの取組についてでございますが,ごみ減量化等検討委員会から今後10年間でかなりの努力は必要とするが,再資源化によってごみ発生予測量の10パーセント以上を減量するよう,また品目別に減量化,再資源化の方策等を検討するよう提言を受けております。したがいまして,現在進めております一般廃棄物処理基本計画策定作業の中で,行政,事業者,市民が果たすべき役割,更に家庭系ごみ,事業系ごみを区分した具体的な減量化,再資源化の方策を検討してまいりたいと考えております。 また新たな再資源化施設の建設につきましては,検討委員会からもごみ減量化,再資源化を促進させるための受皿の整備についての提言がございます。また今後の空き缶発生量の増加などその状況を踏まえまして,そのあり方や運営方法等について調査研究を進めているところでございます。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) 外国人教育についてでありますが,日本と朝鮮半島や近隣の諸国との歴史を踏まえた友好関係の重要性が増す中で,これに対応する教育の一層の充実を図ることが必要であります。こうした認識の下,今年3月,京都市立学校外国人教育方針を策定し,職務別に研修会を実施するなど,その趣旨の徹底を図ってきたところでございます。また子供たちはもとより教職員や保護者等が豊かな民族文化に対する理解を深めることを目指し,民族の文化に触れる集いや教職員ハングル講座を実施してまいりました。今後とも外国人教育の一層の進展を目指して取組を進めてまいります。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 進行いたします。 次に市政一般について,加藤盛司君に発言を許します。加藤君。 〔加藤盛司議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤盛司君) 社会党京都市会議員団を代表しまして,同僚の鈴木マサホ議員に引き続き,市政一般について質問します。加藤盛司です。 田邊市長におかれましては,開かれた市政を市政運営の一つの柱とされているわけですが,その実践の一つとして,本年2月に施行されました公文書公開条例があります。これは政令指定都市の中で京都市だけが実施できていなかったものでありますが,開かれた市政を実現するために田邊市長の決断によって実現していただくことができたものであり,そのすばらしい実行力に敬意を表するところであります。 さて公文書公開条例施行後,約9箇月が経過したわけでありますが,その間9月末までの8箇月間の請求件数は337件,1箇月平均では42件であります。これは昨年1年の請求件数,大阪市の140件,名古屋市と神戸市の87件を大きく上回る京都市民の市政に対する関心の高さを示すものではないかと考えております。またこの請求に対して97.3パ―セントが開示されたと聞いております。これまでの状況を総括して,この公文書公開制度をどのように評価されているのか,田邊市長からお答えください。 さて情報は発信するものがあれば受信するものもあります。公文書公開制度は,京都市から発信するものだとすれば,京都市が市民から受信するものはどんなものがあるかを考えてみました。各区役所や市役所に市民から寄せられる意見などが昨年1年間で12万7000件ありました。しかし市民の皆さんの率直な感想として,できれば市長直接に言いたいと願っている人も決して少なくはないと思います。 市長が市民から市政について直接話を聞く機会と言えば,市政協力委員さんとの懇談会などがあるぐらいなもので,これもごく限られた一部の人だけであると言えます。先日,左京区市原野の清掃工場予定地周辺の人たちと懇談する機会がありました。そのときこんな話を聞いたのです。それは,ごみ問題について田邊市長に3回手紙を書きましたが,残念ながら1回も返事が返ってきていないというものであります。この話を聞いたとき,市民と市長の間に何か大きな溝があるのではないかと感じました。146万市民の市長ですから,毎日多くの手紙などをいただかれるに違いないと思います。それらについて市長が返事を書くというのもなかなか大変なことであり,実際には不可能なことかもしれません。しかし市政について市長の考えを聞きたいと願う市民については,何らかの方法でこたえていくべきであると思うわけであります。 そこで一つの例ですが,神戸市では,市役所のロビーをはじめ区役所の窓口に,このような市長への手紙というのが置いてあります。市民は市政について市長あてに直接手紙が書ける制度です。神戸市に尋ねたところ,昨年1年間で2465通の手紙が来て,原則としてすべての市民に返事を出したとのことです。このような市長に直接手紙を出すというような制度は,神戸市のほかにも横浜市などで行われています。形については京都方式があっていいと思いますが,市民が直接田邊市長に市政のことについて意見を尋ねたり,また言えるような制度を御検討いただけないでしょうか。田邊市長,お答えください。 さて次に京都市の執行体制についてお尋ねします。今回の市会に出されている昨年度の決算書を見ますと,市税の滞納額が122億4000万円と過去最悪となっています。これは市税全体2712億円の4.7パーセントであり,滞納率は前年度より0.5パーセントの増加であります。一方,予算が計上されているにもかかわらず,執行されずに残った不用額は248億円で予算全体の4パ―セントと,前年度より額,率とも下がり,改善されたとはいえなお多額であり,繰越額については229億円と大幅に増加しています。昨年の11月決算市会の委員会審議においても,執行体制に問題があるのではないかと指摘されたところであります。また今回の監査委員の監査報告書においても,不用額の多さが指摘され改善が望まれています。 更に今年度の市債発行額を見ますと約600億円であり,これは不用額と繰越額の合計に匹敵するものであります。積立基金まで取り崩さなければ予算が編成できない状況にもあります。多額の不用額と繰越額をできるだけ少なくし,効率的な執行を行うためには,理財局の問題だけでとどめるのではなく,全局的な立場で執行体制の弱さを検証する必要があるのではないでしょうか。 田邊市長は,昨年秋に策定した健康都市構想をはじめ,今後10年間の京都市政の方針を決める,現在作成中の新京都市基本計画など幾つものプランを持ち,それを京都市政に反映されようとしています。財政運営の柱である市税収入の確保と税負担の公平性を期すため,この11月16日から来月25日までの約40日間,市税徴収のための強化月間とされていますが,予算に対する執行率が92.3パーセントと,指定都市の中でも最も低く,多額の繰越しや不用額を生じるような体制では,京都市のいろいろなプランも机上の空論に終わってしまうというおそれすら危惧されます。 一例を挙げれば,1990年11月にJR奈良線において稲荷桃山駅間と桃山木幡駅間の二つの新駅の設置場所が同時に発表されました。稲荷桃山間の新駅は京都市が事業主体となり,桃山木幡間は宇治市が事業主体になりました。それから2年がたち,先月桃山木幡間に六地蔵駅が開業しました。しかし京都市が事業主体である新駅については,93年度末に開業予定だそうです。無論別々の条件の違う所に建設するものですから,開業時期が違って当然なのかもしれませんが,聞くところによりますと用地問題で遅れているそうです。地元の理解と協力が必要ですが,一方,市民には京都市の仕事は遅いのではないかと受け止められているのではないでしょうか。 そこで田邊市長にお尋ねします。まず今回の決算で明らかなように,市税徴収未納額の増加や繰越し,不用額を多く出すような市役所の現在の執行体制についてどのように考えておられるのでしょう。またより強固な執行体制を確立するために今後どのような方法を講じられるのかお答えください。 次に景気対策についてお尋ねします。このことについては5月の一般質問でも行いましたが,半年経過した現在,景気は回復するどころかますます深刻,悪化しております。 先週に発表された民間調査機関の10月の倒産件数は1293件,負債総額は7963億円にも上り,また京都市内のデパ―トの売上高も前年度比で今年3月から連続8箇月マイナスを記録するなど,経済状況は悪化するばかりで今や出口の見えない戦後最大級の不況だと言われています。 本市では,本年度の公共工事の契約率を上半期に75パーセント達成する目標を掲げ,9月末にそれを達成されたと聞いています。また9月市会や今市会においても,合計244億円に上る一般会計の補正予算を組むなど公共工事を大幅に増やす努力もされているところであります。 さて本市のように他の政令指定都市に比べ大企業が少なく,中小企業の割合の多い所では不況はより深刻であると言えます。4月から中小企業向けの金利の引下げをはじめ,預託金の増額など融資制度の改善に努め評価されるものです。特に10月末に発表された中小企業経営安定特別融資は,府市協調の下,時宜を得たものであります。また不況の著しい友禅染や西陣織など和装関連業者に対しては,8月2日から9月19日までの期限で特別融資を行い,462件,81億7400万円の申込みがあったということです。 さて今回の不況については,金利引下げや和装関連業者に対する緊急融資制度の再開など,より一層きめの細かい施策が必要になるのではないでしょうか。今後どのような不況対策を考えておられるのか具体的にお答えください。 次に行政サービスについてお尋ねします。地域をめぐる情勢にも変化が見られ,核家族化や高齢化の進行など住民の意識,ライフスタイルの変化に合わせ,本市も区民相互の交流と触れ合いを深めるために,区民ふれあい事業への助成や,その窓口を区民相談室から地域振興室にして組織強化を図ってこられたところであります。 しかし先日,区役所に住民票を取りに行ったとき,幾つかのことについて気付いたのです。ささいなことで恐縮ですが,市民との接点である窓口職員が市民から見て見苦しいような服装がないかという点であります。特に市民との対応が多い区役所をはじめ福祉事務所,保健所などの窓口の職員には事務服がないかと思っていましたが,尋ねてみたところ制服や事務服があるとのことです。この事務服の問題については,市民と市行政を結ぶ直接の窓口職員に市が貸与している事務服が着てもらえないのは大変残念に思えて仕方がありません。しかしその反面,夏用の事務服がないとか,事務服は2年に1度,制服は3年に1度しか貸与されていない現状もあります。特に制服については,最近,男性,女性用とも改善されているようですが,着用している人は少ないようで,事務服については毎日着用するには2年に1着では少ないようにも思います。 また区役所では,来庁されるお年寄りや障害者のためにスロープ,エレベーター,点字板,車いすの設置など配慮がされていますが,もう少し工夫もあってもいいのではないでしょうか。区役所などでいろいろな書類を記入するとき,お年寄りや体の弱い方には座って記入できるようなサービスはいかがでしょう。健常者にとっては少しぐらい立ったまま記入するのは何でもないことですが,お年寄りなどにとっては大変な方もおられると思います。区役所の窓口にいす付の記載台を置かれてはどうでしょう。いす付の低い記載台を用意すれば,車いすで来られた障害者の方にも使っていただけるのではないでしょうか。また待っている市民に市民しんぶんをはじめ市が発行している雑誌を読んでもらうなど,ちょっとしたサ―ビスもあってもよいと思います。私のようにたまにしか区役所などに行かない者でも,よく見れば幾つかのことに気付きました。これらの提案も含め,区役所など一層の市民サービスの充実についてお答えください。 次に学校の空き教室の活用についてお尋ねします。京都市では,小学校は1981年をピークに,中学校では1986年をピークに児童,生徒数が減少の一途をたどっております。そのため学校では使われていない教室,いわゆる空き教室があります。こうした教室を教育活動をより充実させるためにランチルームや多目的ルーム,プレイルーム,郷土資料室などに改修されているところであり,21世紀を担う子供たちの教育環境を充実するために御尽力されている田邊市長並びに教育委員会に感謝申し上げるところですが,一方,学校の空き教室を子供たちの教育活動だけでなく,地域の方々にも開放して欲しいという声があります。 教育委員会では,学校を地域における生涯学習の拠点とするため,1989年から学校ルネッサンス事業を実施されておられます。これまで学校ルネッサンス事業を実施された8校では,編物教室や民謡,手話の講習会等多彩な文化的行事が地元の方々の手によって実施されるなど大変好評であり,年間の利用回数は1校平均150回を超えると聞いております。そのため,まだ整備されていない学校の地元では,うちの学校にも是非ルネッサンス事業をという声は大きくなる一方であります。しかし残念ながらルネッサンス事業は1年に2校しか実施されておらず,すべての小学校を整備するためには100年も掛かるという気の長くなるような話であります。 そこで教育長にお尋ねします。お年寄りの憩いの場としての利用も含め,地元住民の方々が気軽に利用できるような身近な生涯学習施設として,学校ルネッサンス事業の拡大が是非とも必要であると考えるわけですが,いかがでしょうか。 最後に本市における緑化対策についてお尋ねします。都市の緑は,そこに住む者にとって幾つもの役割を果たしてくれています。何よりも心の安らぎを与え,二酸化炭素を酸素に変える大気の浄化や年々上昇する大都市の気温を和らげたり,町並みの景観を整え,風景に風格と季節の彩りを添えたり,幾つもの役割があります。 さて京都市は三山に囲まれ,緑豊かな都市であると思われている方も少なくはないと思いますが,私の住んでいる中京区や上京区,下京区など都心部においては,コンクリートとアスファルトばかり目に付き,都市砂漠と言えば言い過ぎかもしれませんが,決して緑が多いとは言い難い状況であります。よく見れば,緑があるのは御池通など大通りの街路樹や公園,神社仏閣などであります。神社仏閣は他都市に比べてたくさんありますが,街路樹が植えられているような大通りは少ないし,公園については1人当たり国の基準面積6平方メートルに対し,本市は3.1平方メートルと約半分であり,これは政令指定都市13市中,12位と不十分な状況であります。 建都1200年記念事業で梅小路に11.6ヘクタールの大きな都市公園ができますので,この数字はいささかよくなると思いますが,市民1人当たりにしてみると,わずか0.08平方メートル弱という増加にしかすぎません。また都心部の公園は都市の防災上,地震時の避難場所になったり,火災時に延焼を防いだり,散歩やジョギングの場所にもなり,健康の維持増進という観点からも重要な役割を果たしています。都心部で公園を新たに建設することは,土地問題などすぐには解決できるような状況ではありませんが,広く市民の協力も得ながら都心部の緑を増やすためにはどうすればいいかを今考えなくてはならないと思います。 昨年秋に策定された健康都市構想を実現させるためにも,都市の緑化を積極的に進めるためには公共公益施設の緑化は当然として,民間の緑化を積極的に進めるなどの対策も必要であります。本市における緑化推進計画の基本的なお考えをお聞かせください。 以上で私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) ただ今の加藤盛司議員の質問に対してお答えいたします。 まず公文書の公開制度の件でございますが,これは本年の2月から始めたものでございまして,ただ今までに250件を超える公開請求があったと聞いております。この制度は,長年皆さん方の御要望もあったんでございますが,政令市では最も遅くスタートしたわけでございまして,他都市のいろんな問題を勘案しながら開かれた市政を目指してやっておるような状況にあるわけでございます。今後とも市政に対する理解を深めていくうえで非常に大事なことであると考えておりまして,今後とも制度の定着に努めまして,開かれた公正な市政を進めていきたいと考えております。 次に市民の声を聴く制度でございますが,今申し上げました開かれた市政の推進を念頭に置きながら,この公聴推進課あるいは地域での振興室におきまして,年間12万件余りの市民の意見を聴いておるそうでございます。また各行政区での市政協力員連絡協議会の会長さん方との懇談ですとか,あるいはモニターの方との定期的な話合いをやっておりますけれども,今日市民のニーズは非常に複雑多様化いたしておりますし,御提案の趣旨を踏まえましてよく研究していきたいと考えております。 市税の滞納でございますが,平成3年度決算によりますと滞納額は122億円になりました。大変な事態であると認識いたしております。税は何と申しましても財政の根幹となるものでございまして,このまま放置することはいけないと認識いたしております。したがいまして職員が一丸となって,この滞納整理を一層強化してまいりたいと考えております。特に建都1200年を目前に控えまして,将来の活性化を図っていきますためにも,是非ともやらなければならない多くの重要な事業を抱えておるわけでございまして,調整機能や事業の執行体制を強化するために組織体制の整備を図ってきたところでございまして,今後更に私の強い指導の下に重要施策の推進に当たっていきたいと考えております。以上です。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) 今般の不況とその対策についてでございます。本市の経済は依然として厳しい状況にありまして,特に深刻な和装産業につきましては,8月に緊急の特別融資を実施したところでございます。この融資によりまして,和装関連業界の当面の資金的要請にはこたえることができたと思っておりますけれども,更に11月からは年末期の資金需要等に対応いたしますために,中小企業の経営安定特別融資を実施いたしているところでございます。今後も引き続きまして,これらの申込みの状況,あるいは景気,市中の金利の動向などを見守りながら機動的に対応してまいりたいと考えております。 次に区役所に来庁される体の不自由な方,あるいはお年寄りをはじめとした市民の皆様に対する対応についてでございます。出入口のスロープでございますとかエレベーター,あるいは一部の区におきましては座ったまま記載できるカウンタ―などを配置しております。こういう整備を行っておるわけでありますが,まだ庁舎の全体的なスペースの問題などがありまして,不十分な庁舎も多く御不便をお掛けしているのが実情でございます。御提案の趣旨につきましては,市民の方々に対する応対も併せて,より利用しやすい区役所になりますように,今後の庁舎整備等に当たりましては十分考えてまいり,より一層の市民サービスの向上に努めてまいたいと考えております。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 都市緑化推進計画についてでございますが,本市における緑化施策を総合的,計画的に推進するため,これまでに緑の現況調査あるいは市民意識調査などを行いまして,現在基本計画の取りまとめを行っております。この策定に当たりましては,公共公益施設の緑化とともに民有地の緑化や民有地における緑の保全を基本といたしております。特に御指摘のありました民有地の緑化や緑の保全を進めていくためには,市民参加の方策を具体的に明示しまして,協力を得ながら緑あふれるまちづくりを行ってまいりたいと考えています。今後健康都市構想や策定中の新京都市基本計画の内容に沿う緑の保全と創造を市民の皆さんとともに積極的に推進することができる計画としてまいりたいと考えております。 ○議長(川中増次郎君) 桝本教育長。 ◎教育長(桝本頼兼君) 学校ルネッサンス事業は現在8校で実施しており,地域の文化事業や各種会議など様々に活用され大変好評でございます。御指摘のとおり,多くの地元から強い設置要望を承っておるのが実情でございます。生涯学習の重要性が叫ばれる中で,学校施設が学校教育だけでなく,地域における生涯学習を推進するための,住民の身近な拠点しての役割を果たすことが期待されていることはお説のとおりであり,今後ともその拡充に努力してまいりたいと考えております。また今後,生涯学習の基盤整備を進めるため,既存の余裕教室の改修といった方法だけでなく,学校の改築や新築に併せて地域の生涯学習活動に利用しやすいような施設配置を図るなどの工夫も引き続き行ってまいりたいと考えております。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 加藤君。 〔加藤盛司議員登壇(拍手)〕 ◆(加藤盛司君) ただ今の御答弁の中で1点申し添えたいことがございます。 景気問題で現在厳しい調整局面にあるとおっしゃいましたが,そのような見方は今年の春ぐらいまでの分析であります。今やもっと悪い底ばいの状況であると経済企画庁の月例報告でも分析されているということを指摘するとともに,今後しっかりと景気動向を誤りのないように見守っていただき,例えば公共工事の地元企業への発注や,また金融対策では金利の引下げ,金融条件の緩和,また全体枠を広げる等々の一層のきめ細かい,そして強力な景気対策を強く要望しておきます。 そしてもう1点,市長への手紙については研究すると御回答されましたが,私自身,それほど難しい問題ではないと思っております。政令指定都市でも6都市で行われており,一刻も早く体制を整え,そして田邊市長が決断されればすぐに実行できることだと思います。市民の思いが通じる開かれた市政を実現するためにも,是非市長への手紙についても前向きに検討していただくことをお願いして,私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 暫時休憩いたします。 〔午後2時59分休憩〕 〔午後3時29分再開〕 ○議長(川中増次郎君) 休憩前に引き続き,会議を行います。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 休憩前の一般質問を継続いたします。次に市政一般について,富きくお君に発言を許します。富君。 〔富きくお議員登壇(拍手)〕 ◆(富きくお君) 私は,民社クラブを代表いたしまして,市政一般について質問いたします。 さて今世間を騒がせております佐川問題に関しましては,国会では常軌を逸した見苦しい対応に明け暮れており,国民の政治に対する不信感は現在頂点に達しており,ある新聞社の調査によりますと,政治を信頼しないという人が実に81パーセントに達しております。つまり国民が政治に対して絶望しているわけでございまして,まさしく議会制民主主義の危機と言わざるを得ません。 我が京都市会におきましても,10月9日に全会派一致で政治腐敗防止対策の確立を求めましたが,私たち地方議員と言いましても,我々は都市議員でございますが,その私たちも含め,政治家一人一人がこの事態を真剣に受け止め対処するとともに,早急に抜本的な政治改革に取り組み,真の政治倫理の確立を目指していかなくてはなりません。私どもも,京都市会議員の一員としても,一日も早い政治改革の実現と政治倫理の確立を目指し努力いたしたいと思います。 さてこれから本論に入りますが,何分私は9番目の質問者でございまして,ほとんどの部分が重複いたしております。しかしながら割愛することもできませんので,昨日から今日に掛けての総括として,また取りまとめとして議会の諸先輩の皆様方はお聞きいただいたら結構かと思います。 田邊市長も就任以来3年余りが経過いたし,その任期も残すところあと9箇月足らずとなりました。今回は,市長と担当助役のみに質問いたし,御答弁いただきたいと存じます。 さて市長には,田邊市政の柱ともいうべき京都市健康都市構想を昨年策定され,その実現に向け現在努力中でございますが,来年はねんりんピック,そして2年後にはいよいよ建都1200年を迎えることとなります。こうした様々な大きなイベントを成功に導くには,何よりも市民の皆さんの理解と協力,そして実際に様々な企画を推し進めていく行政マン,すなわち市長を先頭とした市職員の皆さんの一丸となった取組が必要であります。 しかし最近,職員のやる気,士気が低下してきていると思えてならないのであります。私は,3年前,11月議会におきましても,本市の組織について触れ,市長がリーダーシップを発揮するとともに,職員のやる気を引き出すためにも現場の担当職員からの意見,情報,企画などがそのトップに流れていくいわゆるボトムアップ方式と,組織の上位で決定して,その実行を下部組織に指示する方式つまりトップダウン方式,この両者を両立させてやっていかなくては市長の公約実現はおぼつかないであろうと申し上げました。そしてそのための調整機関が不可欠であるとも指摘いたしましたが,この3年間を振り返って,それがうまく機能したかどうか,まずお伺いいたします。またリーダーシップを遺憾なく発揮できたと御自身思われますか,市長にお伺いいたします。 次に新京都市基本計画に関しましてお尋ね申し上げます。この新京都市基本計画は,平成12年,西暦2000年を目標に健康都市構想とまちづくり審議会答申を重要な視点とし,市政の全分野にわたる施策を体系的に示すものであり,今後の本市の市政運営の総合的な指針となるものであります。 この新しい計画に地域住民の声を生かしていくために,五つの地域別に明日の京都を考える会と題した市民シンポジウムを開催し,私も11月5日の東部地域のシンポジウムに参加いたしました。会場の東部文化会館は,満員の盛況ぶりで,住民の皆さんの関心の大きさに驚いた次第です。今,5会場のシンポジウムを終えて市民の反応はいかがでしたでしょうか,助役にお伺いいたします。 また先ほども申しましたように,この計画は健康都市構想を重要な視点といたしておりますが,市長が最も力を入れて取り組んでいるこの健康都市構想をどのような形でこの計画の中に生かしていくのか,一体どういった位置付けになるのか,助役より明確にお示しいただきたい。この点にこそ,いわゆる田邊カラーが生かされるのであり,極めて重要なポイントであります。 ところで幾ら立派な計画でも,市民の皆さんの本当に自分たち自身の問題だという認識と理解がなければ絵に描いた餅に終わってしまうわけであります。市民の理解がなければ様々なプロジェクトのスムーズな進捗は望めません。検討資料によりますと,地域別整備方向として六つのエリアに分けて,その地域ごとの将来の方針を示す予定でありますが,それをもう少し細かくして各行政区別にまで細分化して具体的に示すべきだと考えますが,助役の見解をお伺いいたします。 ところで市民が自分たちの住む地域の現状と将来に目を向け関心を持つ一方,行政側は大きな視点を踏まえつつ将来図を明確に示していく,この両者の関係こそが地方自治の基礎となるものであります。今新しい地方の時代と叫ばれながら,強力な権限を中央が握ったまま補助金と許認可権でがんじがらめになっている地方自治に対し地方分権を求める声が高まっております。そして様々な提言や構想が打ち出されておりながら,一向に進まない地方分権を推し進めていくためにも,地方自体が住民とともにもっと変わっていかなくてはならないと私は確信いたします。 地方自体が変わっていくための原動力は二つあります。一つは住民の力,もう一つは行政,すなわち職員の皆さんのやる気であります。京都市職員の総数は今年の4月現在で1万9318人でありますが,職員の皆さんを市民がどういう目で見ているか御存じでしょうか。市民は自分たちが接する職員をプロとして見ています。学校の先生は教育のプロ,水道メーターの検針員は水道のプロ,市バスの運転手はもちろんプロの運転手であります。こうした市民の目には,職員に寄せる信頼と期待がありますが,果たして何人の職員が,この市民の目を意識し自覚しているのでしょうか。行政でのプロとしての自覚と意識の向上にまだまだ大いに取り組む必要があると思いますが,いかがですか。今後どのようにして取り組んでいくのか,具体的に市長よりお示しいただきたい。 次に経済面から景気対策についてお伺いいたします。景気の低迷が深刻化し,回復には相当な時間が掛かるのではないかという厳しい見通しの中で,京都の基幹産業である西陣織物をはじめ,中小零細企業の経営状態は現在極めて深刻な状況となっております。京都の産業構造は,中小企業の比重が高いこともあって,不況の波をもろにかぶり,とりわけ和装繊維産業の低迷は長期にわたっております。西陣の友禅はピーク時の3割減,帯は4割もの落込みとなっており,室町卸も売上高を大きくダウンさせています。繊維製品が京都の製造,品質,価格の中に占める比重は年々低下しているとはいえ,多くの市民が繊維業界で働いており,京都経済全体の活力低下へとつながりかねません。 こうした中,いち早く緊急経済対策として融資利率を引き下げるとともに,臨時の金融支援をされたことに対しては評価いたすものであります。またこれからは年末に向けて一層の対策が望まれるわけでありますが,こうした対症療法的な緊急策もさることながら,繊維業界は特に構造的な問題もあり,是非とも長期的な対策として産業構造の転換も含めた対策が是非必要であると思われますが,今後の対策について助役にお伺いいたします。 また来年も依然として和装繊維業界のみならず,多くの製造業者,特に中小及び零細企業などを不況が直撃すると思われますが,本市の財政上からも極めて憂慮すべき事態であります。この際,融資に関しましては,限度額の引上げ,更に返済期間の延長や融資手続の簡素化も含め,思い切ったてこ入れが必要と思われますが,併せて助役にお尋ね申し上げます。 次に高齢者福祉問題についてお尋ねいたします。厚生省の人口問題研究所の発表によりますと,我が国の65歳以上の老年人口は毎年増え続け,2013年には現在の倍の2976万人となり,26年後の2018年には実に3252万人となり,人口の25.2パーセントを占め,4人に1人がお年寄りという超高齢化社会が予想以上のスピードでやってまいります。 こうした急速な高齢化に伴い,公的年金や医療費など社会的なコストは今後30年間で約2.7倍に膨らむとの予想も出てきております。とりわけ我が京都市におきましてはその傾向が特に顕著で,9月15日現在で65歳以上の高齢者が総人口の13.4パーセントをも占めています。市政の中でも高齢者対策はとりわけ重要な施策となってきており,先月京都市高齢社会対策推進計画が発表されました。申すまでもなく高齢化問題は,高齢者だけの問題ではなく社会全体の課題であり,ハード面とソフト面の両面からの取組が必要であります。まずハード面では,特別養護老人ホームやシルバーセンターの拡充,そしてケア付住宅の整備が急がれますが,施設の用地確保などには莫大な予算が必要となってまいります。 この度右京区の社会福祉法人が経営しておられる保育所に特別養護老人ホームとデイサービスセンターが併設されることになりましたが,出生率の低下により幼児が減少していく中で,老人福祉施設との複合施設として有効に利用していくわけで,最大のネックの用地確保が不要となり,同時に子供たちとお年寄りとの日常的な触れ合いが増えるという,かけがえのないプラス面も生まれてくるものと期待されます。このような取組は大いに評価できるものであり,是非とも今後とも積極的に推進してもらいたいと考えますが,今後同様の計画予定はあるのか,また行政側として,この問題にどう取り組んでいかれるのか市長にお尋ねいたします。 次に高齢化問題のソフト面での課題は,人材の確保並びに育成の問題であります。京都市の高齢者調査によりますと,寝込んだとき,どのような形での介護サービスを希望するかという質問に対し,6割近いお年寄りが家庭における介護を望んでいるのであります。しかしこうしたお年寄りの希望とは裏腹に,核家族化が進み,そのうえ女性の社会進出が増加することにより家庭での介護はますます困難な状況となっております。また日本の住宅や生活様式は老人介護のしにくい形となっており,家庭での介護を一層困難なものにしているのであります。こうした社会状況の中で,先ほども申しましたように高齢化問題を自分たち社会全体の問題としてとらえ,住み慣れた地域でともに支え合って暮らしていくことこそが本来の社会の姿だという意識を私たち一人一人がしっかりと持ち,行動していかなくては迫り来る超高齢化社会に対応していくことは不可能であります。 そこで市民レベルでのボランティア活動が大きな役割を果たすのであります。市民の皆さんの理解によって生まれ,はぐくまれたボランティアの力が高齢化問題や障害者問題だけでなく,これからの社会を支えていく大きな力となり得るのであり,我が京都市におきましてもその協会などがあります。しかしボランティアの皆さんの好意に甘えるのではなく,多くの市民がボランティア活動に参加しようという意識を持ち,より一層活動を活性化させていくためにも条件整備が是非とも必要であります。まず意欲はあるのだが実際にどうすればよいのか分からないというボンティア希望の人が案外と多いので,こういう人たちに対する広報活動並びに受皿はどのようになっているのか,また技術面での教育,レベルアップをどのように図っていくのか,その機関は十分にあるのか,市長にお尋ねいたします。 次に来年の10月に予定されていますねんりんピック,健康福祉祭についてお尋ねいたします。第6回京都ねんりんピックは,実質的には政令指定都市で開かれる初めての都市型ねんりんピックであり,参加予定人数は観客も含めて延べ30万人と見込まれております。この一大イベントをスムーズにかつ京都ならではという演出も含めて成功させるには周到な準備が必要であろうかと存じます。 私も今年の第5回山梨大会を視察いたしましたが,参加者の生き生きとした活躍ぶりには目をみはるものがありました。ねんりんピックというと,ともすればお年寄りのものと思いがちでございますが,決してお年寄りだけの催しではなく,本来の目的は,世代間の交流を深め合うことにあります。特に今回は,古都である我が京都で開催するのですから,京都の特色を生かした京都ならではという大会にしなければなりません。この点について企画も含めてどのような構想をお持ちなのか,市長にお尋ねいたします。 そして京都で開催されるのですから,当然西京極運動公園で総合開会式を挙行しなければなりませんが,私自身,今年の山梨でのねんりんピックの視察に行き,実感として京都開催に当たり一番の問題だと思ったことは,国体を上回るほどの選手,役員の輸送と配車計画,更にはその駐車場をどうするかということであります。 主な参加者は60歳以上ですからバスで輸送する場合,駐車場は会場の近くでなくてはなりません。山梨県の場合は,大型バスは100台駐車可能の広大な駐車場を備えた会場でありましたが,本西京極運動公園の場合,現在のところ駐車場は原則的にはない状態であります。一体どこに確保するつもりなのか,また輸送計画や駐車場の確保についても,京都府との協議を早急に進め,お互いの役割分担も検討していき,協力を仰ぐところは仰ぐべきだと考えますが,市長のお考えをお聞かせください。 併せて西京極運動公園の整備についてお尋ねいたします。昨日からも質疑の中でありましたように,また私も何回も言っていますように,西京極運動公園には原則的に駐車場はありません。いろいろな大会が行われるとき,主催者側の役員が職員に頼み込んで駐車場でないスペースに車を置くことを黙認してもらっているという誠に情けない状況となっております。また駐車場がないため,せっかく利用できるチャンスがあっても見送ってしまうケースすらあるのであります。 駐車場のない運動公園の将来的な発展など望めるはずもありません。西京極運動公園における駐車場整備についての計画並びに取得いたしております土地買収の現在までの進捗状況と今後の見通しについて,助役よりお答えいただきたいと思います。 現代社会において車なしの生活は考えられないのが現状でありますが,本市における全市的な駐車場整備計画と見通しについても,この際併せてお答えください。 また京都国体の際に西京極のプールが撤去され,市内には現在のところ公認競技用プールがありません。146万都市に公認競技用プールがないというのでは余りにもお粗末としか言いようがありません。この西京極運動公園にも,もちろんプールは将来的には必要でありますが,西京極だけでなく,ほかにも用地を確保して観客席付の公認競技用プールを私は早急に建設すべきであると思いますが,助役の見解をお伺いいたします。 更に公園整備は国の補助事業であり,平成6年度に予定されている緑化フェアのための梅小路公園の整備の方が先行し,西京極公園整備は後回しになるのではないかという懸念もございます。市民のスポーツに対する関心の高まりとスポーツを通じて健康を保持するという点からも早急に完成を目指すよう強く要望いたしておきます。 次に障害者対策についてお尋ねいたします。本市におきましては,国際障害者年第2次京都市行動計画を策定し,どんな障害のある人でも社会に生活する,個人として社会参加し行動できるようにノーマライゼーションの考え方を市民全体の課題として認識し,行政と市民が連携して取り組むことを求めております。 施設などの不備な面もさることながら,障害者の雇用促進の面は遅々として進んでおりません。従業員63人以上の企業は,一定の割合で障害者を正社員として雇用することが法律で義務付けられておりますが,法定雇用率の1.6パーセントを達成している企業は51.8パーセントと半分にしか達しておらず,企業の規模が大きくなるほど雇用率は下がる傾向にあり,1人当たり月5万円の納付金,納付金と申しますのは,語弊がありますが罰金のようなものでございまして,この5万円の納付金を払っている方が経営効率が良いと考える経営者が多いようです。 共同作業所の充実や福祉工場の建設も必要でございますが,障害者自身やその家族が普通の職場で働きたいという願いも切実であります。特に協力企業に集団で就労し,訓練スタッフとともに働く援助付雇用に対する要望が強く出されております。 そこで企業に対し,どのような啓発あるいは働き掛けを行っているのか,また養護学校などの現場の職員だけに就職活動を任せるのではなく,市全体としてこの際強力に取り組むべきだと思いますが,市長のお考えをお聞かせください。 また精神障害者の人権を保障する精神保健法が施行されて4年が経過し,本市におきましても,ようやく精神保健総合センターの建設に向け調査が開始されましたが,その建設に当たっては患者,家族の希望も十分考慮されるよう強く要望いたしておきます。 次にエイズ問題に関してお尋ねいたします。京都市内ではこれまでに患者3名,感染者9名が報告されておりますが,厚生省の公衆衛生審議会は,今の日本の状態はアメリカなどで爆発的に感染の広がった前の状態に似てきており,日本はエイズ感染の爆発前夜にあると警告いたしております。 本市におきましても,エイズの無料検査を市内の全保健所で実施することとなりましたし,最大の予防策である若者に対するエイズ教育も十分とは言えませんが進んでおります。こうした教育や啓発とともに,今急がれるのがエイズ治療の拠点病院の確保であります。 私と親しい開業医によりますと,近ごろエイズ検査の希望者がよく訪れるようになったそうで,今までのところ全員が陰性であったものの,もし陽性,つまりエイズ感染者が出た場合,以後どう対処し,どこの病院や機関で患者を受け入れてもらえるのか非常に不安だということであります。つまり紹介できる病院がないということでありました。 同時に自ら検査を希望する人はまだしも,本人は全く自覚がないけれど医者の目から見てそのおそれがある場合の患者の人権と,医者自身の防衛との板挟みに苦しむケースも多いようですが,今後は行政がリードして公立病院,私立の民間病院,個人開業医との連携を十分に図り,エイズ患者の受入態勢を早急に整えるべきであると考えます。エイズ治療や感染実態の情報提供とともにどのように取り組んでいかれるのか,市長にお尋ねいたします。 次に京都のまちづくりについてお尋ねいたします。まず小倉山の件であります。市は土砂を搬出せずに元の姿に近い形に回復するというJR西日本の計画案を了承し,11日付で許可を出しました。同時に小倉山一帯の景観保全のためにJR西日本が3億円を拠出することとなっております。当初の許可条件であった残土の搬出は,20万立方メートルという土砂の量からして物理的に無理との判断であり,一部の市民から不満や市に対する不信の声が聞かれますが,今回の措置は大文字山の行政代執行や吉田山のマンション建設用地買収と比べても残念と言わざるを得ません。 こうした市民の声に対しても,小倉山を完全に原状回復することによってのみ信頼を回復し得るのであり,今後はこのことを貴重な経験として保存地区での安易な許可は決して行わないように強く求めるものでありますが,市長の景観保全に関する所見を重ねてお伺いいたします。 次にまちづくりの中でも大きなウエイトを占める大学に関連してお尋ねいたします。御存じのとおり京都は,古くから大学のまちと呼ばれ,現在市内には37の大学並びに短期大学があり,14万人もの学生と1万8000人の教職員,そして市民1000人当たりの学生数は93.3人と他都市を大きく引き離して1位となっております。そしてその消費購買力は京都経済の大きな活力源ともなっております。数年来,引き続いていた市外への大学流出も一応一段落し,現在のところ,今後全面移転を計画している所はないとのことであります。また今まで,ともすれば地元とのトラブルが起こりがちであった大学も各地域で地元との協調関係が芽生え,施設の開放などにも積極的に取り組み地域を支える一員としての役割を担い始めております。 本市にとりましても,先ほど申し上げたような経済的な面だけでなく,知的な都市の形成に大学は大きな役割を果たしており,今後は大学と十分に連携をとりつつ,大学のまち京都を更に発展させていかなくてはなりません。しかし今後18歳人口は今年の春をピークに減り始め,8年後には151万人と54万人もの減少が見込まれております。大学自身も存亡をかけて今後は教育内容の充実や施設の整備を進めることを余儀なくされております。 こうしたときに工場等制限法によって大きく制限を受け,結果的に大学の市外流出につながったケースも今までに多くありましたが,この法律の見直しも含め,今後大学をどのようにまちづくりの中で生かしていくのか,助役にお伺いいたします。 質問の最後は建都1200年に関して意見と提案を少々述べたいと思います。2年後の1994年に我が京都市は建都1200年を迎えるということで,様々な事業や行事が行われております。地下鉄東西線の建設や,それに伴う関連事業に始まりコンサートホールの建設,そして博覧会の開催など21世紀を見据えた京都の新たな飛躍のときと位置付けられております。現在の私たちが100年前の建都1100年の3大事業と言われた第2琵琶湖疏水の建設,チンチン電車,上水道の布設などによって大きな恩恵を今なお受け続けているように,私たちも後世の市民から建都1200年を機に本当に京都は良くなったと言われるようなまちづくり,風土づくりに努力していかなくてはなりません。そのためにも市民の皆さんの理解と協力を得ながら様々な困難を乗り越えて是非とも事業の完成を目指していただきたい。 ところでこの建都1200年という大きな節目が市民の皆さんに一体どこまで浸透しているのか考えてみますと,非常に心もとない気がいたします。確かにいろいろな催しには冠のように建都1200年という文字が記されておりますが,市民の皆さんが実感としてとらえるところまではいっていないと思います。先日の委員会でも提案いたしましたが,できれば市民の皆さんが行政区ごとに自主的に建都1200年のためのイベントを企画し,多くの区民がそれに参加できるように工夫はできないものでしょうか。そのための予算は各行政区ごとに一定額を支給し,後はその行政区にお任せし,その地域の特色を生かした催しにしていただき,幅広い区民の結集によるふるさと起こし,まち起こしをできないものでしょうか。博覧会に併せて行えばまさしく京都市全体が博覧会会場となり,同時に建都1200年というものが直接市民の中に溶け込んだ現実のものとなり得ると確信いたしますが,市長の御意見と御見解をお伺いいたしまして,私の第一質問を終わります。(拍手) ○議長(川中増次郎君) 田邊市長。 ◎市長(田邊朋之君) 富議員の質問に対してお答えいたします。 まず執行体制についてでございますが,平成2年度及び4年度に調整機能の充実や都市基盤整備事業の推進体制の強化を図りますために企画調整局,都市整備局などの新設,局の再編成など大規模な組織改正を行ってまいりました。これによりまして今日私どもが控えております健康都市構想の理念の実現をはじめ,建都1200年記念事業や本年度に策定します新京都市基本計画,また都市基盤の整備などを着実に実行できる体制が整えられたと考えております。 これまでの間,開かれた市政を目指す公文書の公開制度,あるいは比叡平西側の違法開発への対応,京都高速道路や京都駅ビルの将来の都市基盤整備への着手など懸案事項の解決を図ってきたところであり,私自身こうした組織改正の実効が上がりつつあると感じております。もとよりこういう組織も,私のリーダーシップの下で幹部職員が先頭に立って職員の仕事に対してやる気,情熱を十分に引き出してこそ機能するものであると考えておりまして,今後とも組織の在り方や職員のやる気の引出しについてしっかりやっていきたいと考えておるところでございます。 それと関連いたしまして,職員のプロとしての自覚と意識の向上でございますが,今日私どもが今申し上げました非常に大きな事業を抱えておるわけでございますが,市民の期待と信頼にこたえて市政を推進していくためには,職員の一人一人が自らの職務と責任を厳しく受け止めまして,市政に対する幅広い視点と強い責任感を持って事業を進めていくことが重要であると考えております。特に管理監督者については,組織の要の一員として果たすべき役割も大きく,担当する業務について絶えず大きな責任感と広い視野に立って判断する能力を付けて職員を指導していくことが非常に大事なところであると考えておりまして,職員とともに山積する諸事業の遂行に先頭に立ってやっていきたいと考えております。 高齢化の進展に対応した施設の建設についてでございますけれども,これは一つは在宅福祉の充実に関連するものと施設福祉に関連するものと両方あるわけでございますが,御指摘の右京区におきます保育園と福祉施設の合築は今回非常にうまくいった,経費的にも安く付いたということは非常に私どもにとりましては貴重な体験をさせていただきました。 この福祉施設で今一番問題になっておりますのは,用地の確保ということでございまして,そういう観点から他の社会福祉施設との合築や公有地の無償貸与,公設による整備など多様な手法によって施設の整備,充実に努めていきたいと考えておるところでございます。 ボランティアの確保,育成について御質問がございました。これは高齢化社会の進展に伴いまして,ボランティアを充足し,しかも能力的に非常に高い,また社会意識の強い人たちを養成していくことが急務であると考えておるところでございます。例えば健康都市構想の審議の間でも,自分自身の高齢化に伴います余暇の利用の中でボランティア活動をやっていきたいという意見も非常に強うございましたし,また今日,本市の職員が退職しまして私の所へあいさつ状をよこす文面の中にも,役所で勉強してきたものを地域社会の発展のためにボランティア活動を通じて頑張っていきたいという意思表示も強く見られておるところでございます。 そういうふうにボンティアの必要性も非常に高まっておりますし,また先ほど御質問の中にございましたように,ボランティア活動をしようという意識も非常に市民の間に高まっておるわけでございますので,私どもといたしましては,そのようなボランティア活動の意欲を今後実際の活動につなげていくように積極的に組織を強化いたしてまいりましたり,あるいは財政的な支援をしていくような形で今後一層このボランティア活動の支援をいたしますとともに,専門性を高めるような研修制度についても十分留意してやっていきたいと考えております。 ねんりんピックの京都大会が明年,本市を中心にして開催されることになりました。御指摘のように都市型のねんりんピックというのは今回初めて私どもが経験するわけでございますので,開会式をはじめほとんど京都市内を中心に大会が開催されるわけでございますので,私どもの1200年の歴史と伝統文化を身近に感じていただけるような,市民ぐるみの対応の中で温かく迎えて京都でのねんりんピックを是非成功させたいと考えておるところでございます。御指摘のように,例えば30万人御参加なさる,あるいは国体でも経験したことのないような大規模な大会になるということも予測されるわけでございまして,特に輸送機関の確保あるいは配車,駐車場対策,これは非常に私は難しい問題を抱えておると考えております。 しかしながら,一つは国体のノウハウも持っておるわけでございますし,宿舎と会場との輸送でございますとか,いろいろ難しい問題はあろうと思いますけれども,京都府と十分連携をとって,おっしゃるように責任を明らかにする形の中で,是非この輸送問題につきましても駐車場問題につきましても鋭意早くから取り組んでいきたい,かように考えております。 障害者の雇用対策など一般的な問題について御意見を伺ったところでございますが,昭和56年にWHOの提唱によりまして国際障害者年が始まりました。完全参加と平等をテーマにいたしまして,その10箇年が終わりまして,つい先日もそういう障害者団体あるいは社会福祉関係の団体の方が,南の沖縄をスタートされまして東京へ向かっておられる方たちが,市庁を訪問していただきました。また一方,北の方からも東京に向かうコースを同じような趣旨で運動しておられる状況があるわけでございます。 そういう中で私たちは健康都市構想の策定の中にも,人権の重みということを強調する中で地域コミュニティの確立を図っていこう,障害者に対する,あるいは高齢者をはじめとする,その他人権の重要性につきましては,市政の仕組みの中の主要な政策としてこれからも進めていこうというところでございまして,御指摘のようなノーマライゼーションを一つの志とした障害者対策を市全体として取り組んでいくようなやり方を進めていきたいと考えておるところでございます。 また精神保健総合センターにつきましても御意見をいただいたわけでございますが,本市はこれに取り組むような状況になってまいりましたので,プライバシーをはじめカウンセリング,その他精神障害者保健につきましても鋭意努力していきたいと考えております。 エイズ対策でございます。今御指摘のように日本でこれから爆発的に起こる可能性が十分あると思っておるわけでございますけれども,日本人は今エイズの発病あるいは感染に関しまして,どういう状況で起こるかということにつきましては知識がだんだん広まりつつあると思いますが,そのエイズ予防の知識を実際,性的な問題で生かしていくことを今非常に嫌がっておると申しますか,そういう予防する適切な処置をしないということも今非常に強く指摘されておるところでございます。そういう点から見ますと,一つはやはり基本的に教育ですとか,あるいは市民の啓蒙でございますとか,予防に対する一つの政策が必要でございます。 また一方では,感染者あるいは発病者に対する対応が必要でございますが,まだ何しろ事の重大さについては認識があるわけでございますが,実際このことについて,起こった場合にどういうふうな道順で処理したらいいか,確かに私どもの経験といたしましては,京都の数病院では既にこのエイズ患者に対する対応をしていただいておるところでございますけれども,今後関係団体とも発病者,感染者に対する発見後の対応についての道順も明らかにしていきたいと考えておりますし,更に国立病院におきましてエイズ治療の拠点病院構想との連携も深めていきたいと思っております。 次に小倉山の問題でございます。これは小倉山のトンネル工事の際の残土の処理につきまして,当時国鉄と約束をしておったわけでございますが,今日その時間的な制約のために結論を出すに至りましたけれども,これを物理的に外へ搬出することが非常に難しい,時間的にも難しゅうございますし,また地元におけるトラックの量の問題などの制限も非常に厳しい状況でございまして,残土を残したままで一日も早く山容の回復を図ることによって緑の保全を図っていこうと,最善の策ではなかったと思いますけれども,非常に難しい問題の経験をさせていただきました。今後はこのようなことのないように,私どもの京都の美しい自然景観あるいは歴史的景観の保全つきましては一層努力していきたいと考えております。 もう一つ,建都1200年事業が市民の間に浸透していないという御意見から始まりましたけれども,一層この建都1200年の事業につきましては市民に理解を求めますと同時に,参加していただくことが非常に重要であると考えております。御存じのように,ふれあい事業を昨年から始めまして,各行政区,また行政区の中でも,また地域でいろいろ趣向を凝らしてふれあい事業をやっていただいておりますけれども,去年よりか今年,非常にその実行委員会の皆さん方の御努力によりまして熱のこもった事業が行われておりまして,この分であれば,この地域で祭りをやっていただくことはもう絶対大丈夫だというふうに私は今見ております。特に本市におきましては,まちの中での中心的なパレード,パフォーマンスでやります祭りと地域でのそれぞれの祭りを一体的にやっていくことによって,コミュニティの結束を図っていこうということをやっておるわけでございますので,御趣旨に沿えるような行事が行われると思っております。 ○議長(川中増次郎君) 薦田助役。 ◎助役(薦田守弘君) まず新しい基本計画の地域レベルでのシンポジウムと市民の皆様の反応,それから健康都市構想の関連についてでございます。新しい基本計画を策定するに当たりまして開催させていただきました地域別のシンポジウム,大変たくさん御出席いただきまして文書等によるものを含めて約100名の方から建設的な御意見をいただきました。これらの貴重な御意見については,基本計画の作成に当たりまして十分反映させていただきたいと考えております。 また健康都市構想は都市としての活力の中で,人が豊かな生きる舞台としての京都のまちに磨きを掛ける,つまり多彩な人材がこの京都に集まりまして新しい文化や産業を生み出していく人から始まる活性化,こういう取組をしていこうということでございます。これを新しい基本計画の一つの重要な視点にいたしまして,もとよりその健康都市を実現していきますためには,すべての施策を総合的に実現していかなければできません。特に人権の尊重を基本にしながら都市定住の促進,それから高齢化に対応した社会システムの構築,更には市民生活を支えている産業の活性化,こういうことに力点を置きまして新しい基本計画に反映させていただきたいと思っております。 次に同じ基本計画の地域別整備の方向でございます。これはそれぞれの地域の特性を生かしますとともに,市民の皆様にできるだけ身近で分かりやすい計画づくりということを御理解いただくために今回初めて試みたものでございます。先に出されました土地利用及び景観のあり方を示したまちづくり審議会答申の中にあります自然,歴史的景観保全地域,調和を基調とする都心の再生地域,新しい都市機能集積地域,この三つの区分をベースにいたしまして,特にその中でも面積の大きい自然,歴史的景観保全地域を細分化して全体を六つの地域に設定したものでございます。なお更にきめ細かいまちづくりの方向を示すために各地域の中に幾つかの地区を設けまして,その現況と課題あるいは地域整備の方針なども示していくことにしたいと考えております。 次に和装業界の景況につきましては,これはまさに御指摘のとおり大変長期にわたります需要の低迷,バブル経済の崩壊などが重なりまして大変深刻な状況であると理解しております。その対策の一つとして,先に緊急特別融資を実施させていただいたわけでありますけれども,この融資によって当面の資金需要の手当ては一応できたと考えておりますが,業界振興のためには何よりもまず和装需要の振興,拡大が一番大きな課題であると考えております。このため本市といたしましては,年末恒例の第九の演奏会に2000名の着物着用者を招待いたしまして気軽に着物に親しんでいく機会を提供したり,あるいは和装啓発のために全国的なキャンペーンを展開するなど和装の振興に取り組んでいきたいと考えております。これからもいろいろな方法で和装需要の振興に積極的な事業の展開を図ってまいりたいと考えております。 またこの度の景気の停滞が広く全業種に及んでおりますことから,京都市としては,特に年末を迎えまして中小事業者の方々の資金需要にこたえますために,全業種を対象にいたしました中小企業経営安定の特別融資をこの11月から実施いたしております。現在既に大変多くの方々からお申込みいただいておりますけれども,この特別融資制度を含めまして融資制度全般にわたる条件の改善も,この申込みの状況あるいは金利の状況,そういうことも十分にらみながら機動的に対応してまいりたいと思っております。 また融資手続の簡素化という御指摘でありますけれども,こういう点については引き続き努力してまいりたいと考えております。 次に本市の基幹産業であります繊維産業の長期対策でございますが,この業界は,生活様式の変化に伴います和装需要の低迷,あるいは生産システムの整備の後れなど数多くの構造的な問題が指摘されているわけでございます。本市では昨年,繊維産業ビジョンを策定いたしまして,総合繊維産地への転換を中心とした繊維産業の活性化のための方策を提案いたしております。今後はこのビジョンを具体化していくことに向けまして,この取組を積極的に進めていきたいと考えております。 次に工場等制限法の見直しと大学との連携についてでございます。大学を中核といたします学術研究機関の集積は京都市の優れた都市特性であります。人から始まる活性化という理念について先ほど申し上げましたが,こういう理念に沿って将来のまちづくりを進めていく上においても大学の役割は大きなものであると考えております。 工場等制限法につきましては,市街地に大学が立地し,その周辺地域と調和のある発展をしてきたという今日までの経過を見ましても,本市にとりまして学術研究機関の発展を図っていく立場から,この工場等制限法が大きな制約になっていると思っております。これまでからも国土庁に対して機会あるごとにその見直しを要望してきておりますけれども,またこれからもそういう要望については引き続き強力にお願いしてまいりたいと思っております。 今年7月に京都の大学の現状と動向に関する調査研究報告書というのを発表させていただきました。この結果も踏まえまして,また現在文部省,国土庁,大学関係者などの御協力をいただいて京都における大学問題についての総合的長期ビジョン,京都市大学21プランの策定作業を進めております。この作業の中で大学のまち京都の将来像と地域と大学との連携をどういうふうに進めていくのか十分慎重に検討してまいりたいと思っております。以上でございます。 ○議長(川中増次郎君) 佐藤助役。 ◎助役(佐藤達三君) 西京極運動公園の拡張区域の用地買収につきましては,現在36パーセントの買収が完了しておりまして,4年末には46パーセントの達成を目論んでおります。またお触れいただいております駐車場につきましては,拡張区域の施設整備の中で駐車場は必要な施設と位置付けておりまして,他の施設との整合性を図りながら,できるだけ多くの台数を確保し早期に整備できるように努めてまいります。 次に関連いたしまして市内の駐車場整備計画についてでございますが,都心の活性化のためにもこの計画を進めてまいりたいと考えております。早期にこの計画を策定するためには今年度に実態調査を行い,現在の整理や分析を行いまして,官民の適切な役割分担を踏まえました基本計画の策定に取り組んでまいります。 次に公認競技用プールの建設についてでございますが,この問題につきましては,国内大会が開催可能なプールとなるように現在財源確保に努めております。計画では50メートルの公認プールを検討しておりますが,当面西京極プールを建設することが現段階では急務と考えておりますので,この早期実現のために積極的に努力いたします。 ○議長(川中増次郎君) 富君。 〔富きくお議員登壇(拍手)〕 ◆(富きくお君) 答弁時間が過ぎましても答弁いただきましてありがとうございました。第二質問させていただきますが答弁は結構でございます。 いろいろ質問させていただきまして御答弁いただきました。それぞれの分野での質疑をさせていただき,昨日から今日に掛けて9人の質疑者がございましたが,ひとつ是非ともそれぞれの質問の内容につきまして積極的に今後取り組まれるように心から要望いたし,期待するものであります。 リーダーシップの問題について触れさせていただきましたが,先ほど組織改正の実効が上がりつつあり,市長のリーダーシップの下,職員のやる気,情熱を引き出して活力ある市政運営に全力を傾け,また機能させたいという力強い市長からの御答弁がございました。3年前の当選後の市長の初訓示のくだりをただ今から時間がある限り読ませていただきたいと思います。これは天方議員が前回の本会議で時間切れになったものでございますが,どうか市長,心に止めていただきたいと思います。 中段でございますが,私は,皆さん方と一緒になって汗をかき,泥まみれになってこの京都市政を進めていきたいと思います。皆さん方には私に全面的な御協力を賜りたいと同時に,もし私のそういう考え方に賛同できないという方があれば,自発的に進退を考えていただきたい。私は毅然とした態度で京都市の行政を進めていく所存であります。 あのときの気概を持ってリーダーシップを今後とも強力に発揮していただき,任期を全うしていただくことを切に望み,私の質問を締めくくらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(川中増次郎君) これをもって一般質問を終結いたします。-------------------------------------- ○議長(川中増次郎君) 本日は,これをもって散会いたします。 〔午後4時31分散会〕--------------------------------------          議長    川中増次郎          副議長   可児達志          署名議員  日置文章          同     桑原茂樹...